志望校と中学受験の目的と目標 [中学受験]
中学受験の目標が第1志望校に合格することであれば、中学受験の目的は何か。中学受験の目的は、「我が子の将来のために、なるべく早期に、より良い教育を受けさせたいから」と回答する保護者が多い。そして、より良い教育は、我が子に合った教育方針と校風の学校で受けられるということになる。しかし、問題は、学校の教育方針や校風を見極めることが難しいことである。そのため、大学合格実績に連動する学校の偏差値が良い教育の表れと考え、それを基準に志望校を選定せざるを得ないと考えている保護者が多いことだ。
中学受験の目的が、より良い教育を受けさせることであれば、第1志望校でなくとも、第2志望校でもよいはずだ。つまり、学校には、良い点と同時に悪い点もあり、第1志望校と第2志望校を比較して優劣を明確にすることは難しいのだ。しかし、教育方針や校風が我が子に合っているかどうかを考えず、子どもの学力で届きそうな学校のうち最も高い偏差値の学校を第1志望校とする保護者が多いのが現状だ。
そうであれば、第1志望校に合格しても中学受験の目標は達成できるかもしれないが、目的は達成できないことも考えられる。逆に、第2志望校の教育方針や校風が我が子に合っていることが確認できれば、我が子に合った教育方針と校風かどうかわからない第1志望校よりも第2志望校のほうが、より良い教育を受けさせることができる可能性が高い。
具体的には、今年の中学入試で難関校合格倍率は3.02倍だった。難関校を第1志望校にしていた受験生のうち、3人に1人しか目標を達成できなかったことになる。不合格となった残りの2人は、第2志望校に合格したとしても、第1志望校に合格できなかったことで、目標が達成できなかったこととなる。しかも、第2志望校の教育方針や校風が我が子に合っているかどうかがわからなければ、より良い教育を受けさせるという中学受験の目的まで達成できなかったことになる。それでは、あまりにも残念だ。
もしも、第1志望校以外の学校の教育方針や校風が我が子に合っていることがわかっていて、それらの学校に合格していれば、少なくともより良い教育を受けさせるという目的は達成できたことになる。第1志望校以外の合格でも、目的は達成できたわけなので、子どもは称賛されるべきなのだ。そうなれば、第1志望校に入学できなかったばかりに不本意入学となる生徒の数も減るだろう。
中学受験の目標は第1志望校の合格で、良いと思う。目標を持つことで、厳しい受験にも立ち向かうことができる。しかし、中学受験の目的は、より良い教育を受けさせるために、我が子に合った教育方針と校風の学校に入学させることであれば、苦労して受験した子どものためにも、目的を達成したことを称賛してあげられるように、第2志望校以下の学校の教育方針と校風が我が子に合っているかどうかを調べて志望校を選定すべきだろう。