不本意入学にしないための併願校選定[中学受験]
併願校の選び方として、偏差値と入試日程だけで決めているのが実状で、学校説明会に参加していないケースや、パンフレットもよく読んでいない保護者も多いようだ。我が子の性格や家庭環境に合わないケースもあると思う。第一志望校に首尾よく合格すればよいが、人気のある学校の合格倍率は3倍以上もあり、不合格になる確率のほうが高い。併願校に進学した場合、問題なのは不本意入学だ。不本意入学にしないためには、どうすればよいのか?
当たり前のことだが、不本意入学とは、入学したくなかった学校にいやいや進学することである。なぜ行きたくないのに受験したのか。それほど第一志望校に執心していたのかもしれない。確かに、受験生本人にとって、目標校がいくつもあると、散漫になり、受験に向けての意欲に欠けるだけではなく、易しい学校に逃げてしまうこともあり、よいことはあまりない。しかし、保護者は、万が一に備えて、我が子のために併願校を選定してあげるべきだ。実際に、併願校を選定するのは、保護者が多いようだ。入試直前に受験する学校を決める時に、併願校の選定理由を我が子に話して、魅力的な学校であると伝えておくべきだ。特に、試験で上がりがちな子どもには、志望動機のある学校がいくつもあれば、失敗を恐れることなく思いきり力を発揮できる。その点、入りやすくてそのうえで「学力を伸ばしてくれる学校」であれば、立派な志望動機になる併願校といえよう。
表1と表2は、併願受験する生徒が多いことで有名な学校の、中1生の保護者にアンケートを行った結果である。表1を見ると第一志望で入学している生徒はわずか19%で、残りの約80%が併願で合格したことになる。しかも、第三志望以下が45%と半数近くを占めている。表2は、その学校が「我が子に合った学校」か、どうかを、アンケートで尋ねた結果だ。入学前と入学後に分けて質問したが、入学前の時点で55%の保護者が「我が子に合った学校」だと思っていたようだが、この数値は第一志望と第二志望の生徒の占める割合と一致している。通常、第一志望として受験した場合のみ「我が子に合った学校」となるので、人気のある学校と考えられる。注目すべきは、入学後、「我が子に合った学校」とした保護者が31%も増加したことだ。このアンケートは初夏に行ったので、入学してから3か月ほどの短期間に、大幅に増えたことになる。
この学校は、難関国公立大・私立大の合格実績でも「学力を伸ばしてくれる学校」であった。学校は併願校として入学してくる生徒が不本意入学とならないよう、「学力を伸ばしてくれる学校」であることをはじめ、学校のよさを新入生に知ってもらうことから新学期をスタートするそうだ。このように、「学力を伸ばしてくれる学校」であれば、併願校に進学しても不本意入学にはならない可能性は高い。「学力を伸ばしてくれる学校」は偏差値にかかわらず存在する。
併願校として入学する生徒が多い学校の
中1生を持つ保護者へのアンケート
1. 在籍校の志望順位は?
2. 在籍校は「我が子に合った学校」だと思いましたか?
※1、2ともに小数点以下を四捨五入しているため、実際には100%でない場合がある