入試まで「あと1か月」の生かし方(2)子どもの集中力が続く環境づくりを [高校受験合格応援コラム 第10回]
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前回は、ベストの状態で入試本番を迎えるための約1か月間の過ごし方、特に本番を意識した過去問の取り組み方を中心にお話ししました。今回は、この1か月、保護者のかたに気を配ってほしい点について、さらに詳しく述べます。
生活リズムを守り、あえて「淡々と」
この時期に大切なことは、子どもが「ほどよい緊張感」を保てるような環境づくりです。たとえば1月中に私立高校、3月初旬に公立高校を受験する場合、1か月以上の間が空きますから、子どもにとっては集中力を保つことが難しいのです。併願校の入試が残念な結果に終わってショックを受け、勉強が手に付かなくなるケース、逆に合格が取れて気持ちが緩んでしまうケースもあります。
この1か月、保護者のかたは生活リズムを守ることを心がけてください。起床、食事、入浴、就寝の時間は一定に保ち、子どもが机に向かうタイミングも一定になるように気を配ってあげるとよいでしょう。ペースが乱れているなら、子どもと一緒に日課表を決め、それに準じて1か月間を過ごすのが理想です。学習時間は一定にしたほうが、集中力も高まり、密度の濃い学習ができます。
また、「最近、時事問題も入試によく出るよね」と話題にしつつ、テレビのニュースを子どもと一緒に見たり、新聞を読んだりするのもよいことです。実際には、1月には既に入試問題はできており、今ニュースになっていることが出題される可能性はないわけですが、時事問題を語り合うことで、海外・国内の問題に関心が生まれます。
なお、気分転換は大切ですが、散歩や軽い運動など、気持ちの切り替えがすぐできるものがおすすめです。映画やサスペンスもののドラマなど、あまり刺激が強いものを見てしまうと、勉強モードに戻りにくくなります。
子どもと一緒に、受験校までのルート確認を
受験校へのルート確認も大切です。交通機関が事故などで止まってしまうケースを考え、別ルートでも一度行ってみるとよいでしょう。本来は、本人がひとりで行くべきなのですが、受験校が遠く、子どもが電車やバスの乗り降りに慣れていない場合は、保護者のかたが一緒に行ってあげると不安も和らぎます。
保護者自身の体調管理を
保護者のかたは、日頃から受験生の健康管理には気を使っていらっしゃると思いますが、疲れやストレスがたまりやすい時期ですので、ご自分の体をいたわることも大切です。十分な睡眠や休養、栄養のある食事をとる、風邪やインフルエンザなどが流行している時期はなるべく人ごみに出かけないなど、ご自身の体調管理も心がけてください。家族が風邪で寝込んだりすると、子どもも勉強に身が入らなくなる可能性があります。
併願校の合否をどう受け止めるか
この時期、併願校の合否が出ることと思いますが、保護者のかたの受け止め方はとても大事です。残念な結果だった場合ですが、その時の感情を子どもにそのままぶつけないこと。結果を知ったらひと呼吸おき、お茶を一杯飲むなりして冷静になってから子どもと話し合いましょう。感情の発露のままにしゃべらず、結果を淡々と受け止めて、子どもの努力をねぎらってあげてください。その後、当日の様子や問題を振り返り、具体的なアドバイスをしてあげましょう。この時期に一度失敗することで、第一志望校の入試に向けた対策が立てられますし、子どもの集中力も高まる場合が多いので、焦る必要はありません。
推薦入試で合格が見えたら?
一方、推薦入試で合格をほぼ決めた子どももいることと思います。といっても、試験当日の成績が極端に悪かったり、面接での態度が悪かったりすれば取り消されるので、浮かれないようにひと言クギを刺しておきましょう。あわせて、一般入試を受ける子どもたちの前では喜んでいる姿を見せないことが、友達としてのマナーであることも伝えておくとよいでしょう。
また、1月中に緊張感が緩み、4月まで遊びほうけてまったく勉強しないと、高校入学時のスタートラインで、3月まで必死に勉強していた子どもとは大きく差が付いてしまいます。中学校の授業は通常どおりありますから、受験勉強を続けている友達の気持ちも考え、緊張感を持って授業を受けてほしい。そして、この数か月を、高校の準備期間として有意義に使ってほしいですね。特に積み上げ教科である英語と数学は、時間を決めてコンスタントに学習を続ける必要があります。また、得意なこと、好きなことを思いきりやるのもおすすめです。たとえば英会話を得意にする、博物館や美術館に出かける、好きな本をたくさん読むなど、自分なりの目標を立てるとよいですね。自分の裁量で使える自由な時間ですから、思う存分好きなことをやってほしいと思います。
前回も述べたとおり、この1か月間は中学生が最も勉強し、学力を伸ばす時期です。保護者のかたはなるべくどーんと構え、学習しやすい環境を整えてあげてください。
次回は、入試当日の過ごし方について述べます。
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