この夏をどう過ごすか 第2回
日課表─基本的な時間は固定する
夏休みを有効に生かせるかどうかを決めるのは、実は日々の過ごし方です。立派な学習目標を掲げ、立派な長期計画を立てても、それが実現できるかどうかは、1日1日を有効に過ごせたかどうかで決まります。
私は保護者向けの講演などで、よく「凡事徹底」という言葉を使います。平凡なことをきちんと持続できることこそが、受験で成功を収められるかどうかの最大のカギだからです。夏はどうしても暑さ、寝苦しい夜などの理由から生活リズムが狂いがちです。それを防ぐためにも、日課表が必要なのです。
前回、夏期講習期間、夏期講習がない期間、お盆の時期と3期間に分けてお話ししましたが、日課表も3種類作ってください。ただし、起床時間、朝食の時間、夕食の時間、風呂の時間、就寝時間はどの時期も一定にしておくことが重要です。長期間にわたって成果を上げようと思ったら、体のリズムを一定にしておくことが欠かせないからです。
本人の勉強時間帯を考慮してこれらの時間を決めたら、保護者はこれを極力守ってあげてください。それが本人の勉強リズムを維持するコツです。
もうひとつ私からの提案があります。夏期講習がない期間、お盆の時期には、家の手伝いの時間を取っていただきたいのです。お子さまは中学生なのです。面倒を見るのでなく、自分のことは自分でやらせて、そのうえで家の手伝いもさせてください。
この間、新聞を読んでいたら、幼稚園の園長先生がこんなことを書いていました。
「若いお母さんの中には、家でお湯を沸かしてお茶をいれるという経験をしてこなかった人がいる。いつもペットボトルで、お茶も工業製品という感覚。勉強さえしていれば、親は満足していた、という育てられ方をしたようだ」。
事態はここまできているのかと、ちょっとビックリしました。
急須、湯のみ、茶たく……、煎(せん)茶、抹茶、玉露……お茶をいれるだけでも、語彙(ごい)が増え、世界が広がるものです。
手伝いをするということは、単に親を助ける、労働をするということだけではないのです。手伝いを通じて自分の世界が広がるのです。ぜひ時間的に余裕のある夏休みこそ、お子さまに手伝いをさせてください。スーパーなどの買い物にも付き合わせてください。お米が5kgいくらぐらいするのか、お米にはどのようなブランドがあるのか、イモ類の産地はどこか、濃縮還元ジュースの「濃縮還元」とはどういう意味なのか……スーパーには生きた教材が山ほどあります。テキストの中の勉強よりよほど身に付いたりします。
最近の高校入試の問題は、時事的なことに題材をとったもの、身近なものへの関心を見るのもなどが非常に多くなっています。ですから、1週間に1回くらいはお子さまと会話しながら、買い物を楽しんでいただきたい。案外これは有効な受験対策でもあります。