伝記・歴史・文学小説などはまったく興味がありません[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小3女子のお母さま


質問

伝記・歴史・文学小説などはまったく興味がありません。
図書館に毎週通っては10冊程度を借りてよく読書をしていますが、読むジャンルはオカルトものやファンタジックなものに偏り、伝記・歴史・文学小説などはまったく興味がありません。よく読書をするおかげで国語の成績は非常に良いですが、このままでよいのでしょうか?


小泉先生のアドバイス

できるだけ自然に、さまざまなジャンルの本を紹介する

いろいろなジャンルの本に触れることは、それだけ読む人の世界を広げます。オカルトものやファンタジーだけではなく、もう少し他のジャンルにも興味を持てるとさらに良いと思います。
ただし、親であってもお子さまに読むべき本を強制することはなかなか難しいものです。あまり無理強いすると、読書自体に興味を失ってしまう可能性もあります。ここはできるだけ自然に、さまざまなジャンルの本を紹介するという姿勢が大切だと思います。無理に読ませるというよりも、きっかけを与えると考えてみてはいかがでしょうか。
たとえば、国語の問題文で読んだ物語にお子さまが少しでも興味を持つようであれば、積極的にその続きを読ませるのもひとつの方法です。図書館で借りてくるようにアドバイスしたり、あるいはお母さん自身が借りて読んだりしても良いでしょう。そして、読み終えたらお子さまにもすすめてあげるのです。読書は習慣性のもですから、ひとつの作品がおもしろいと、関連のものを次々に読みたくなります。オカルトもの、ファンタジックなものが大好きなお子さまということですが、きっと何かのきっかけでそれらのジャンルも好きになったのだと思います。

さて、それではどのようなジャンルの本を読むべきでしょうか。読書にはいろいろな魅力や効用がありますから、どの時期に、どのジャンルの本を読むべきかを論じることはなかなか難しいことです。しかし、「中学校入試の国語に役立つ」という観点からであれば、読むべき本を絞ることは比較的簡単です。実際に出題された問題文を読んで、頻出の作家や作品、あるいはテーマを考えれば良いからです。

まず、物語文について。以前に比べて減少してはいますが、それでも頻出作家や作品と呼べるものはあります。たとえば、重松清氏やあさのあつこ氏などの作品は、必ずと言ってよいほど、毎年どこかの学校で出題されています。それらの作品を読み慣れることで、物語の展開や登場人物の気持ちをより的確にとらえられるようになると思います。
次は説明文や論説文ですが、ここでは頻出テーマに関する本を読むのが良いでしょう。頻出テーマとは、すなわち、「自然・環境」「動植物」「言語・コミュニケーション」「文化・習慣」などです。ただし、「言語・コミュニケーション」「文化・習慣」に関する本は内容的にかなり難しいので、まずは「自然・環境」「動植物」などのテーマの本を読んで、説明的文章に読み慣れると良いでしょう。

6年生になると教科の勉強が忙しくなりますから、読書を楽しむ時間がなかなかとれなくなります。でも、中学校に入ってからは読書する時間は十分にあります。今のうちに読書の習慣を身に付けるとともに、さまざまなジャンルにも興味を広げておくことは大切なことだと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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