今、高校はこんなにも変化している 第3回
多様化する公立高校入試
保護者が受験したころの公立高校入試といえば、難しさの違いはあっても、どこを受けても条件は同じでした。調査書と学力検査は5:5、入試教科、入試問題、配点……すべてが同一でした。どこも同じものさしで選抜が行われるごくシンプルな世界だったのです。
それがこれまでお話ししたように、高校教育が「特色化」「多様化」したことに伴い、入り口である入試も高校の特色に応じたものであるべきだという考えから、入試自体も「多様化」するようになりました。
背景には、高校進学率が上昇し、ほぼ全員(96%)が受験することから、学力から適性・興味・関心に至るまで、ものすごく幅が広がり、一律では処理できなくなったということがあります。
学区の撤廃が進み、受験できる高校の選択肢が広がる
保護者のころは、職業科や理数科・英語科などは県内どの学校も受けられましたが(全県一学区)、普通科については学区があり、自分が居住している学区の高校しか受けられませんでした。それが世の中の規制緩和の流れが高校教育にも及んで、学校選択の自由化ということで、2003(平成15)年以降、急速に学区が撤廃されています。
既に撤廃されたのは、以下の20都県です。
青森県、秋田県、宮城県 茨城県、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、福井県、山梨県、静岡県、滋賀県、奈良県、和歌山県、鳥取県、広島県、大分県、宮崎県
北海道では2005(平成17)年に55学区を25学区に統合、2009(平成21)年、さらに19学区にしました。岩手県では学区数をほぼ半数に、長野県は3分の1に、大阪府は9学区を4学区にしています。
近年中に動きがあるのは、以下の2県です。
高知県…2010(平成22)年度から高知地区を除く3学区を撤廃。2012(平成24)年度には全県1学区に。
鹿児島県…2011(平成23)年度から、現行の12学区から7学区に。
このように受験できる高校の選択肢が広がると、交通の便のよい学校、大学進学実績の高い学校に人気が集まるようになってきて、どの地域でもトップ校ほど厳しい入試になっています。
「推薦入試」も大きく様変わり
高校受験では、中学校から高校へ提出される「調査書」(「内申書」は通称)の存在が重要なことはご存じのとおりです。この背景には、「中学校生活をどのように過ごしてきたか、平常点を入試に反映させるべきだ」という考え方があります。
そして、受験機会の複数化ということで、公立高校の入試といえばどの都道府県でも「推薦入試」と「一般入試」の2つが行われていました。次回は、「推薦入試」についてお話ししていきます。