今、高校はこんなにも変化している 第2回
カタカナで呼ばれるさまざまなタイプの高校が開校
前回、全国的に共通する高校の変化を取り上げましたが、その他、カタカナの名称になった学校群もあります。
たとえば東京都では、
「チャレンジスクール」…中学校時代に学校生活になじめず、能力を十分発揮できなかった生徒が対象。無学年制で3部制(午前部・昼間部・夜間部)の総合学科。
「エンカレッジスクール」…中学校時代に学力面などで課題を抱えた生徒が対象。少人数・習熟度別授業、体験学習重視の普通科。
こうした名称は都道府県によってマチマチです。
以前なら職業科の専門科目を除けば、どこの高校でもほぼ同様な科目を勉強していました。教室で机に向かって、1時限50分、現代国語・古典・地理・歴史・数学・物理・化学・英語・音楽……といった科目を勉強する姿は、全国どこの高校でも普通に見られた光景でした。ところが、中学校卒業生の96%もが高校へ進学するようになると、中学校の成績がほとんど「1」だった生徒まで入ってくるわけで、従来型の授業が成り立たなくなってきたのです。こうした学校では、1時限の授業時間が30分だったり、体験型(机に向かうのでなく体を動かすことが主)授業が多くなったりしています。体験型の授業では「フードデザイン」「ガーデニング」など、従来の観念では高校の科目とは思えないメニューも存在しています。
大学進学に重点を置く公立高校も
その一方で公立高校でも学力の高い生徒を集め、ハッキリと大学進学を目標にした高校も現れました。いくつかの都府県では、役所がそうした高校を指定しています。
最も早く行ったのが東京都で、2001(平成13)年、日比谷、戸山、西、八王子東を「進学指導重点校」に指定。その後、3校(青山、立川、国立)を追加指定しています。
神奈川県では、2007(平成19年)に「学力向上進学重点校」として10校を指定し、2010(平成22)年に8校の追加指定を行いました。
・2007(平成19)年、下記10校を学力向上進学重点校に指定。
横浜翠嵐、光陵、柏陽、横浜国際、多摩、横須賀、鎌倉、湘南、平塚江南、小田原
・2010(平成22)年、下記8校を追加指定。
横浜緑ヶ丘、希望ヶ丘、川和、追浜、相模原、秦野、厚木、大和
2011(平成23)年には、大阪府でも同様な構想で、専門学科として「文理学科」を設置する「進学指導特色校」の指定を行う予定です。
・2011(平成23)年、下記10校を進学指導特色校に指定する予定。
北野、豊中、茨木、大手前、四條畷、高津、天王寺、生野、三国丘、岸和田
このように、学力の高い生徒を集めて予算・先生の面で学習環境を整えるシステムが全国的に広がってきています。
こうして、学力に自信のある生徒がこれらの特定の指定校に集中するようになっています。そのため、2番手以下の学校との間のレベル差が開く傾向にあり、2番手の学校は以前より入りやすくなっていること、また学力の高い子が特定の学校に吸い上げられてしまって、4番手以下になるとお手本となる子がいないために、勉強に適した環境になっていない学校も生まれています。こうした学校自体の変化により、学校の中の様子が以前とは変わってきていることにも注意したいものです。