2011年中学入試の易化予測への対応[中学受験]
この前のコラムで話したように、来年の中学受験は、全般的に易しくなる可能性が大きい。しかし、難関・上位校ではそれほど易しくなることはないだろう。しかも、どれだけ易しくなるかを予測することは難しく、学校によっては倍率が高くなることも大いに考えられる。大学受験で合格実績が良かった学校や校舎を新築した学校など、特に、2010(平成22)年に倍率や偏差値が低く割安感が出た学校は、その可能性が大きい。
今年の中学受験は、全般的に受験者数が減少して易しくなった。来年の中学受験は更に易しくなるだろうという情報は、保護者がどんなに注意しても、塾の先生や友達から子どもの耳にも入ると考えたほうがよい。そのような情報が子どもの耳にも入ることで、それほどがんばらなくとも大丈夫と安心してしまい、受験勉強から手を抜くことが考えられる。子どもだけでなく、誰でも楽はしたいもので、来年の中学受験は易しくなることを言い訳にして、がんばらなければならない時に、怠けてしまうことはあり得る。
来年の中学受験が易しくなるといってもそれほどではないかもしれない。むしろ、そのような状況では気を抜いてしまう生徒が多いからこそ、子どもには「危ない!!」と気を引き締めさせるべきなのである。「受験を軽く見た者は、合格できない」という考え方を子どもに言い聞かせたとしても、子どもが本当に理解して、しっかり受験勉強に取り組んでくれるかどうかは疑問である。そこで子どもが、受験が易しくなったとしても適度に危機感を感じるようにすべきなのだが、具体的に行おうとするとなかなか対処方法が難しい。
たとえば、具体的な対処方法としては、目標校を高く設定することが考えられる。通常、1年間で偏差値を10上げるのが上限であれば、目標とする志望校は自分の偏差値よりも5~6高い学校となる。しかし、偏差値10くらい上の学校を目指しても良いかもしれない。子どもが危機感を感じることが重要なので、子どもと話してチャレンジできる学校よりも少し高いレベルの学校を目標校とすれば良いと思う。
ここで、問題となるのは子どもが目標校のランクを上げることを納得するかである。たとえば、「来年の受験は少し易しくなるようだし、目標校のランクを少しだけ上げてチャレンジできるチャンスだ」のように子どもが納得できるように話すべきだ。どんな対策でも、子どもが納得する方法でなければ、成果は期待できないので注意してほしい。
このように受験者数が大きく変動する時期には、子どもが落ち着いて受験できるように親が精神的なケアをしてあげるべきだ。もちろん、来年の中学受験が易しくなるという情報で、子どもだけではなく、親が翻弄されてしまうことも考えられる。このような混乱期には、親子で、地に足の着いた中学受験に取り組んでほしい。