2009年度入試で何が問われたか<算数>

女子学院中学校

大問6題、小問27題の構成で、試験時間は40分。昨年度と比較すると、出題の難易度は上がっています。今までは多量即解型の出題でしたが、今年度はそれに考えさせる問題も加わりました。合格に必要な得点率は70%。
大問1(計算、割合、図形、和と差)は難しい問題はありません。全問正解しましょう。大問1だけで見直しも含め、およそ5分で解かないといけません。大問2(集合)は(1)ができれば、(2)(3)は簡単です。大問3(速さ)は大問2同様(1)ができれば、(2)(3)は簡単です。大問4(立体図形)は、大問2、大問3よりずっと解きやすい問題です。
合否を分けた1題は大問5(条件整理)です。大問5は(1)でしくみが理解できれば、(2)(3)も解けます。大問6(点の移動)は(1)は簡単ですが、(2)(3)はひとひねりされています。もしも大問2、大問3ができなかった場合、それを引きずらず最小のダメージで大問4、大問5にいけることが大切です。

<2009年度入試 合否を分けた問題 女子学院中学校 大問5>

(1)数字の書かれた3枚のカード 819 を並べてできる3けたの整数をすべて書き出すと    であり、これらの数の平均は      である。
(2)数字の書かれた4枚のカード 2637 のうち3枚を並べてできる3けたの整数をすべて考える。それらの数の平均は      である。
(3)1から9までの異なる数字の書かれた4枚のカード 74 のうち3枚を並べてできる3けたの整数をすべて考え、それらの数の平均を求めたら721.5となった。 にあてはまる数字を小さい順に書くと          である。

筑波大学附属駒場中学校

大問4題、小問15題の構成で、試験時間は40分。昨年度と比較すると、出題の難易度は上がっています。合格に必要な得点率は80%。
大問1(規則性)は、一見すると面倒な問題に見えますが、きちんと書き出せばすぐに規則が見つかります。大問2(条件整理)は、問題文が少々複雑ですが低学年にもおすすめの問題です。過去に何度も出題されているタイプの問題です。丁寧に調べましょう。大問3は、図形の移動と重なりの面積に関する問題。(1)はよくある問題ですが、(2)は斬新です。よく練られています。
合否を分けた1題は大問4です。筑駒中得意の「点の移動」の問題です。
今年は4題とも「いかにも筑駒!」という問題が並びました。こういう問題にわくわくしながら取り組める人が筑駒に向いています。
筑駒中は試験時間が40分ですから、試行錯誤していると時間が足りなくなります。問題を飛ばすことに抵抗を感じないようにすることも大切です。いったん最後まで解くと、考えが進んで飛ばした問題があとから解けることもあります。

<2009年度入試 合否を分けた問題 筑波大学附属駒場中学校 大問4>

図1のように、辺ABの長さが18cm、辺ADの長さが42cmの長方形ABCDがあります。点Pは、Aを出発し、長方形の辺上をA→D→C→B→Aの向きに、毎秒3cmの速さで動き、ふたたびAに着いたら止まります。
点Qは、PがAを出発するのと同時にBを出発し、長方形の辺上をPと逆の向きに、毎秒2cmの速さで、Pが止まるまで動きます。次の問いに答えなさい。

図1

(1)PとQが出会うのは動き始めてから何秒後ですか。
(2)点Rは、Pと同時にAを出発し、長方形の辺上をPと逆の向きに、毎秒2cmの速さで、Pが止まるまで動きます。このとき3点P、Q、Rをむすんだ図形について考えます。

(ア) 途中(とちゅう)で三角形ができないことが何回かあります。三角形ができない場合を、動き始めてからの時間で、すべて答えなさい。ただし、たとえば△秒後から□秒後までずっとできないときは、△~□のように答えてかまいません。

(イ) 図2のように、線ACと線BDの交点をEとします。Eが三角形PQRの内部や周上にあるのはいつですか。(ア)にならってすべて答えなさい。
図2

フェリス女学院中学校

大問5題、小問16題の構成で、試験時間は45分。昨年度と比較すると、出題の難易度はやや下がっています。合格に必要な得点率は80%。
大問1(計算、割合、立体図形、条件整理、平面図形)は難しい問題はありません。全問正解しましょう。大問2(和と差)は単純な消去算です。大問3(立体図形)は図がかければ解けますが、図解できないと厳しいでしょう。大問4(速さ)は、比が苦手な人は手こずるかもしれませんが、決して難しい問題ではありません。フェリス女学院中の場合、比の問題をクリアできないと合格は厳しいといえるでしょう。
合否を分けた1題は大問5(平面図形)です。昨年度の大問5と同じようなパターンで、45度、45度、90度の直角二等辺三角形に気づけば全部解けますし、気づかなければひとつも解けません。

<2009年度入試 合否を分けた問題 フェリス女学院中学校 大問5>

図の三角形ABCは、辺ABと辺ACの長さが等しく、辺BCの長さは6cmです。頂点Aから辺BCに垂直に引いた直線ADと、頂点Cから辺ABに垂直に引いた直線CEとが交わった点をFとします。次の問いに答えなさい。

図

(1)アの角度を求めなさい。
(2)直線AFの長さを求めなさい。
(3)三角形AFCの面積を求めなさい。

雙葉中学校

大問5題、小問10題の構成で、試験時間は40分。あとで見直しはできない時間なので、問いごとに見直しをしながら進んでいきます。普段から自分で見直しをし、出した答えに責任をもつ習慣をつけておく必要があります。昨年度と比較すると、出題の難易度はやや下がり、合格に必要な得点率は70%。
大問1(計算、割合)は計算と1行文章題で、どれもやさしい問題です。全問正解しましょう。大問2(場合の数)は、普通の出題形式ではこういう問題は最後に出ます。のめり込むと時間ぎれになりますので、わからなかったら中断して次の問題にいくクセを普段からつけておくようにしましょう。低学年でも取り組める問題ですので、挑戦してみましょう。大問3(条件整理)は、見慣れない問題で、整理が少々面倒ですが、難しくはありません。
合否を分けた1題は大問4(割合)です。単純な仕事算でこの位置にくるのが不思議ですが、この問題をまちがえると合格は難しくなってしまいます。大問5は規則性の問題で、(2)の計算が面倒ですが、難しくはありません。大問2、大問3よりも大問4、大問5を先にやったほうがいいでしょう。学校によっては前から順にやっていかないほうがいい出題形式のところもあります。その学校のクセをつかんでおくようにしましょう。
なお、雙葉中は来年度入試から試験時間が変更になります。算数・国語が40分から50分に、理科・社会が25分から30分に延長されます。

<2009年度入試 合否を分けた問題 雙葉中学校 大問4>

春子さんが一人ですると58分かかる仕事があります。この仕事を春子さんが34分した後、残りを秋子さんが仕上げると、合計で1時間13分かかります。

(1)この仕事を秋子さんが1人ですると、何時間何分何秒かかりますか。
(2)この仕事を秋子さんが1人で途中(とちゅう)までした後、残りを春子さんが仕上げました。このとき、春子さんは秋子さんよりも16分長く仕事をしました。秋子さんが仕事をしたのは何分間ですか。

武蔵中学校

大問4題、小問7題の構成で、試験時間は50分。昨年度と比較すると、出題の難易度はかなり上がっています。合格に必要な得点率は65%。
今年度の武蔵中の問題には、算数が苦手な子が確実に正解できるような問題は1題もありませんでした。しかし問題の数も少なめなので、算数が好きで得意な子なら満点をめざせる出題です。
大問1は、(1)(速さ)(2)(平面図形)どちらも例年の大問1より2段階くらい難しくなっています。大問2(濃度)は、和と差の問題として処理すれば簡単ですが、割合の問題として解こうとすると手こずることになるでしょう。大問3(数の性質)は、見慣れない問題ですが、数字の当てはめで簡単に解けます。
合否を分けた1題は大問4(和と差)です。条件整理ができれば難しくはありません。
恐らく来年度は今年度よりやさしくなるでしょう。

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