冬に欠かせない暖房。石油価格の高騰が私たちの生活にもたらす影響とは?
※2006年11月現在の情報に基づいた記事です。
今年も残すところ約1か月となりました。日に日に寒さが厳しくなり、雪が降り始めた地域もあるようです。この時期に欠かせないのが暖房、ということで、今回は暖房に大きく関係している「石油の高騰」に焦点を当ててみましょう。世界のエネルギー需給問題や環境問題などへ視野を広げていけば、身のまわりの事象や社会問題に対する関心も高まり、適性検査で問われる「課題発見力・課題解決力」や「さまざまな視点で考える力」を養うきっかけにもなるはずです。
■石油の価格が上がるのはどうして?私たちの暮らしにはどんな影響がある?
ここしばらく、石油価格の高騰が続いています。保護者のかたはその影響をひしひしと感じていらっしゃるのではないでしょうか。まず初めに、石油の価格高騰とはどういうことか考えてみましょう。
石油価格の高騰は、石油の原料である原油の価格が上昇したことに起因しています。原油価格は、需給バランスや国際情勢の影響を受けて決められます。原油価格の上昇の背景には、需要拡大による産油国の供給不足、戦争、テロなどによる供給不安、投機筋の市場への資金投入などが考えられます。
石油の価格が上がると、どんな影響があるのでしょう。石油と聞いて真っ先に思い浮かぶのがガソリンと灯油なのではないでしょうか。ここ30年間の日本でのレギュラーガソリン価格の推移を見てみると、主に価格が上昇したのは、2度のオイルショック、湾岸戦争、2000年、2004年の5回です。1961年に1リットル46円だった日本のレギュラーガソリンの全国平均価格は、第1次オイルショック(1973年)後は90円台になり、第2次オイルショック(1979年)後の数年は140円~160円台にまで跳ね上がりました。湾岸戦争が起こった1990年は125円でした。このあと、1999年5月には95円にまで下落しましたが、これを底にして原油高の影響を受け上昇。2004年にはさらなる原油価格の高騰によりガソリン価格はさらにつり上がり、今年2月には130円台、夏には140円を超えました。今月に入ってようやく130円台を取り戻したものの(石油情報センター・給油所石油製品市況週動向調査による)、まだ高値は続いています。灯油に関しても、今年に入ってからは原油高の影響で1400円台(18リットル)を続けています。7年前には800円を切っていましたので、大きく値上がりしたことがわかります。
ガソリンや灯油が値上がりすると、マイカーのガソリン代、家庭の暖房代、タクシー料金の増加など、家計に大きな影響を及ぼします。もちろん石油は自動車の燃料だけでなく、航空機や船など他の乗り物の燃料としても使われていますし、プラスチックやゴム、繊維などにも使われています。皆さんの身近なところで目にするもので言えば、ペットボトルや携帯電話、ビデオテープ、プラスチックトレー、ビニール、化学繊維が使われた洋服、せっけん、道路のアスファルト、クリーニングで用いられる溶剤などさまざまなものがあります。お子さまと、家庭や地域の中で石油が使われているものを探してみてはいかがでしょうか。自分の身のまわりの事柄や社会の動きに目を向け、課題を解決するために自分に何ができるのかを考えることは、公立中高一貫校の適性検査や作文、面接にも役立ちます。石油に限らず、日常生活で使っているものについて、その原料は何か、商品として家庭に届けられるまでの経緯などを考えてみましょう。