【回答:森上教育研究所】志望校選び<その5>

「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。


【回答:森上教育研究所】志望校選び<その5>


何校受験すればよいでしょうか?

新設校のため情報が得られません

受験情報が少なくて困っています

何校受験すればよいでしょうか?

第一志望校は決まっていますが、何校くらい受験すればよいのでしょうか? 塾の先生はなるべく多くの学校をすすめます。受験するからには、お試し受験の学校見学もしておいたほうがよいでしょうか?
東京都の私立中学の入試日は、2月4日・5日に実施するところもありますが、大多数の中学は2月1日〜3日に集中しています。お試し受験で1月に入試を実施する中学を1校受験するとして、2月1日〜3日で3校受験する生徒が多いのではないかと思います。
もちろん、子どもの現状によって受験する数は異なります。第一志望校の合格可能性がどれだけあるか? 子どもの体力と気力が受験を連日させても大丈夫か? などです。また、「お試し受験はしない」「本当に入学したい第一志望校しか受験しない」など、ご家庭の考え方によっても受験する数はさまざまです。
例えば、2月1日〜3日に受験する中学が全滅してしまうのではないかと心配な場合は、2月4日以降に入試を実施する学校にも願書を出しておき、「2月1日〜3日に受験した中学に合格したときは受験せず、不合格のときは受験する」というご家庭もあります。
第一志望校が2月1日入試の場合は、お試し受験を実施する意義は大いにあります。第一志望校の入試で不測の事態に陥らないようにするための予行演習となります。入学する意思がない学校ですが、入試の下見という意味であれば第一志望校と同様、万全を期してください。お試し受験に失敗した場合、第一志望校の入試で影響が出ます。

新設校のため情報が得られません

娘の志望校のひとつである長野清泉女学院中学校は新設校(2009年度から開校)のため、入試情報や教育方針がよくわかりません。新設校で情報がない学校を受験する場合、情報収集はどうしたらよいでしょうか?
新設校の場合は、学校自体がまだ存在せず、学校見学をしても在校生や学校全体をチェックできないので、情報収集に工夫が必要です。
通常、学校情報の収集は、まずインターネットで幅広く情報を集め、学校案内、学校訪問(学校説明会、オープンスクール、文化祭など)と掘り下げていきます。長野清泉女学院中学校では、学校のホームページ上に学校案内が掲載されていましたので、教育方針・校風などが、お子さんの性格・資質・生き方・考え方などと合うかどうかを確認してください。しかし、学校案内だけではわからないことが出てきます。そこで、実際に学校見学をするわけですが、新設校の場合は、先生がたを確認できても、在校生や学校全体は存在しないので確認できないというわけです。
長野清泉女学院中学校の場合は、学校説明会はすでに終わっているようですが、校内見学や各種相談を受けつけていますので、先生がたの外観・やる気・雰囲気などが、お子さんに合うかを確認し、教育方針・校風を感じ取ってください。
また長野清泉女学院の高校部の校内見学も随時可能なので、在校生の生徒の外観・やる気・雰囲気など、学校全体の活気・雰囲気などが、お子さんに合うかを確認することができます。高校生と中学生の違いはあるものの、教育方針・校風は同じでしょうから問題はないと思います。

※2008年9月現在の情報です

受験情報が少なくて困っています

現在5年生です。公立の中学校の評判があまりよくないので、私立を考えています。家から近いところに2年前に私立中ができました。受験を考えていますが、閉鎖的な町で、しかも受験する子は少ないようで、まだ日も浅いので情報もありません。受験対策などはどうしたらよいのでしょうか?
中学受験対策を行う場合、まず、目標とする志望校を決めることです。家の近くにできた私立中学だけに固執するのではなく、本人が通える範囲で最も「子どもに合った学校」を志望校にすべきです。家の近くの学校が志望校になることもあると思いますが、他の学校と検討したうえでの決定ならば入学後に後悔することは少ないものです。
また、本人が通いたい学校を目標にしなければ、お子さんも中学受験に立ち向かっていくだけのやる気が出ません。
目標とする志望校を決めるには、学校のHPや学校案内で学校情報を収集し、「子どもに合った学校」かどうか、当たりをつけます。学校のHPには、学校の行事である「オープンスクール」「学校説明会」「文化祭」「体育祭」の実施時期などの情報がありますので、学校訪問をして子どもに合うかどうかを確認しながら絞っていきます。そのうえで、良いと思われる学校に子どもを連れて行き、子どもがどうしても入りたいと思った学校を志望校にします。親が下見をしないで子どもを学校に連れて行き、子どもは学校が気に入ったが親は気に入らなかった場合、問題が起きますので必ず下見をしてください。
次に、自宅の近くの、志望校の合格実績がある塾に通わせるとよいでしょう。学校に受験する友人がいなくとも、塾には中学受験する仲間がいるので、「自分だけが受験するのではない」と子どもも不安にならずにすみます。

プロフィール



中学受験と私塾、中高一貫の中等教育と私学を対象とする調査・コンサルティング機関。私塾に『中学受験研究』、私学に『私学中等教育』を月刊で発行している。「わが子が伸びる親の『技(スキル)』研究会」を主催している。

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