桐光学園中学校女子部1年生 A・Uさんとお母さま

受験校は、本人の希望と入試問題との相性を考えて、塾と相談しながら決定。

志望校はどのように決めましたか?

お母さま

本人は当初、日大藤沢が第一志望でした。塾からは理数系に強い女子校も受けてはどうかとアドバイスを受けて、田園調布学園や品川女子学院も検討しましたが、本人の希望とは違うので受験しませんでした。


Aさん

いくつか学校を見に行って、おとなしい印象の学校は自分には合わないなと思いました。


お母さま

どちらかというと外で遊ぶほうが好きな子でしたから、本人は、明るくて活発な雰囲気の学校が希望でしたね。私も元気のいい学校のほうが合うだろうなと思っていました。また、理数系のほうが得意みたいなので、そちらに道が開かれている学校がいいのではないかと考えていったら、最終的に共学中心の学校選択になりましたが、まず、横浜国際女学院翠陵を受験することにしました。ここは、大学の合格実績も出していたし、本人を連れて行ったらとても気に入っていましたので。塾の先生も「大丈夫だろう」とおっしゃったので決めました。
桐光は、次男の受験で学校を見て回ったときにいい学校だと思いましたが、正直Aの成績では難しいと思っていたので、最後まで候補として考えていませんでした。11月の首都圏統一模試で理科と算数の偏差値が上がっていたこともあり、それまでのAの傾向を見ていた先生から、「難しい問題のほうが解けるという点で、東京農大第一の算数・理科の2科入試の問題は相性がいいのではないか」とアドバイスを受けて、慌てて学校説明会に連れて行きました。
私も、「Aは難問に強いので、基本問題がたくさん出る学校よりは、レベルは高くても難問を出す学校のほうが、逆に可能性があるのでは?」と思ったので、東京農大第一の算数・理科の2科入試を受けることにしました。
その東京農大第一の2科入試が午後にあるため、午前には移動しやすい学校をと思い、ここで初めて桐光を受験することを考え始めました。でも桐光は4科目入試ですし、合格はまず無理だろうと思っていたので、午後のためのウォーミングアップのつもりでいました。




何校も不合格が続くなか、「どうしても桐光に合格したい」という強い気持ちが芽生えた。

実際の受験の様子を教えてください

お母さま

1日は午前に日大藤沢、午後に東京農大第一、2日は午前に桐光、午後に東京農大第一、3日は午前に関東学院、午後に横浜国際女学院翠陵、4日は日大藤沢、5日は桐光、と受験しました。
1日、2日、3日の午前と不合格が続きました。次男のときと同じく、「やっぱり簡単じゃないな」とは思いましたが、できるだけ私が暗くならないように気をつけました。
しかし、本人は関東学院の試験を受けたあたりから「だんだんおもしろくなってきた」と言うではありませんか。子どものほうが親よりたくましかったですね。そして、4日の日大藤沢の試験が終わった帰り道に、Aが「どうしても桐光に受かりたい」と言ったのです。


Aさん

翠陵はあまりバスケットボール部が強くないので、桐光でバスケをやりたいと思ったのです。試験のあとは毎日塾に寄っていたのですが、その日は先生も「それじゃあ最後の特訓だ」と気合を入れてくださって、苦手な国語や社会から見直しをしてもらいました。


お母さま

私がAを桐光の試験に連れて行っている間に、夫から日大藤沢不合格の結果を聞きました。桐光の試験のあと、その足で子どもと一緒に塾に寄ったら、先生が「桐光の2次はかなり問題が難しくなっているな」とおっしゃったので、正直「これで終わったな」と思いました。
桐光は当日発表だったのですが、「受かっていない」と思っていましたし、下の子どもの送迎でばたばたしていて発表時間をうっかり忘れていたら、塾の先生から「合格発表を見ましたか?」と電話がかかってきたのです。それから慌ててホームページを開いてみたら、なんと合格していました。


Aさん

私も、桐光に合格するとは思っていなくて、その時点では翠陵に行くのだなと思っていたので、自分の番号を見たときはびっくりしました。電話で塾の先生が代わる代わる「おめでとう」と言ってくださって、だんだん「本当なんだ」と実感がわいてきました。「合格ライン48%のところ、6割とれていたよ」と聞いてうれしかったです。実は、先生も合格したと思えなかったようで、本当に合格しているか、中学校に電話して確認してくれたらしいです(笑)。



合格の決め手は何だと思いますか?

Aさん

過去問を解いていたときに、1つの問題に集中しすぎてあとの問題に手がつけられないことがあって、先生からも時間配分に気をつけるように言われていたので、当日は時間を気にしながら解きました。説明会に行ったときに、必ず途中に引っかけ問題があると聞いていたことが頭に残っていたので、特にそのあたりに気をつけて解きました。理科
は計算問題がたくさん出て、それが解けたのもよかったと思います。


お母さま

やはり、最後まであきらめずにがんばって受けられたことですね。体力と精神力があったので助かりました。体調を崩して受験できなかったら、この結果はないのですから。



今の学校生活の様子を教えてください。

Aさん

勉強は、進みも速いし小テストも多いのでけっこう大変ですが、きちんとするときはきちんとして、休み時間は元気に遊ぶ、というメリハリのあるところがいいですね。バスケもがんばっているので、とても楽しいです。



これから受験をするかたへ、アドバイスをいただけますか?

Aさん

たとえ不合格が続いても、何日か受けていくうちに試験に慣れてくるので、最後まであきらめないで受けるといいと思います。最後は、「ぜったいにここに行きたい」という気持ちが大事です。それから、併願校は「行ってもいいな」と思える学校を受けておくといいと思います。


お母さま

塾選びは大事ですね。ふたつの塾では先生の意識が全く違っていました。個別塾の先生は自分の教えるべきところを教えればいいと思っているような感じでしたが、転塾した所の先生はわかるようにするのが仕事だと思っていらして、最後まで一生懸命教えてくださいました。また、私も先生といろいろお話ができたので安心できました。
次男のときには、私があまりに受験に関する知識がなくて、かわいそうなことをしたと思いましたが、二人受験してみて、最終的には本人に合う学校に行くのだなというのが実感です。きっと皆さんも最後はそうなると思います。がんばってください。




  • 通塾バッグ
    塾を変わったときに、「勉強をがんばるなら」と買ってもらった。使い込んだバッグには、がんばって通った思い出が詰まっている。


<取材後記>
極端に緊張せず、最後まで精神的に落ち着いて受験できたのは、おおらかなお母さまの影響ではないでしょうか。あまり細かいところを気にせず、受験に対しても後ろ向きにならないように気を配ったというお母さまの言葉が印象に残りました。(教育ジャーナリスト 中曽根陽子)


プロフィール



教育ジャーナリスト、「登録スタッフ制企画編集会社<ワイワイネット>」代表。塾取材や学校長インタビュー経験が豊富。近著に『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)。

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