入試直前での志望校の検討 その2[中学受験]
志望校の変更は、子どもの心理を考えて、慎重に行わなければならない。特に学力が志望校に届かない場合は志望校を下げなくてはならないが、その場合は子どもが納得できるように筋道立てて話をしてあげることが必要だ。志望を下げることは子どものプライドを傷つけることにもなり、入試直前に学習意欲が低下する恐れがある。
子どもが、どうしても第1志望校を変えたくないと主張するのであれば、第1志望校をチャレンジ校にして、子どもの言い分をとおしてやるのも一つだ。その場合は併願校として、子どもの学力で合格できる「子どもに合った学校」を選定しておけばよいのだが、その併願校を選定するにも問題がある。
というのも、これまでの第1志望校を変更せずに受験することで、大事な受験機会を1日失うことになるからである。
たとえば、東京では、2月1日~3日に多くの人気校の入試が集中する。1回しか入試を行わない学校もあるので、これまでどおりの第1志望校を受験することで、受験したい学校をあきらめざるを得ない場合もある。
また、2回以上入試を行う学校では、2月1日入試が最も偏差値が低く、合格しやすい傾向がある。これまでの第1志望校が2月1日入試の場合は、併願校を合格しやすい2月1日に受験できなくなる。
このように、これまで第1志望校にしてきた学校を受験することで大きなチャンスを逸することにもなりかねない。そのような時には、思い切って第1志望校を変更すべきだ。
志望校を変更する場合は、子どもにどのように話せばよいのか? 志望校を上げる場合は、たやすいが、下げる場合は難しい。子どもに下げる理由をきちんと納得させる必要がある。
子どもの学力で合格できる学校に第1志望校を変更すれば、当然、その学校の偏差値は低くなる。子どもは第1志望校の偏差値が低くなることに心理的な抵抗がある。子どもに第1志望校の変更を納得させるためには、まず「志望校に入学する目的は何か」から話をすべきだ。「子どもに合った学校」に入学することが重要で、学校の偏差値が高いかどうかではない。
また、子どもには、入学してからの話もすべきだ。偏差値が高くとも不本意入学となることもあるが、その逆に偏差値が第1志望校より低くても「子どもに合った学校」であれば、不本意入学とはならないのである。合格可能性が高く、「子どもに合った学校」があるならば、これまでの第1志望校に固執する必要はなく、その学校を第1志望校に変更することになんら問題はない。
むしろ、これまでの第1志望校に固執することで、合格可能性の高い「子どもに合った学校」を受験できなくなり、不本意入学になる可能性がある。そのことを子どもに納得させればよいのである。