学校選びのために(3) 大学受験の意気込みで見ると……[中学受験]

首都圏の私立中学校・高校の一貫校へのアンケートのなかで、「大学受験の意気込みが高い学校はどこか」ということが、結果として抽出できる試みをやってみた。

やり方は、志望大学群(たとえば早稲田大学、慶応大学、上智大学)と実際の合格実績大学群(たとえば、学習院大学、明治大学、青山大学、立教大学、中央大学、法政大学……GMARCH……)との間で、各々どの群が多い順に並ぶか、その順位差を実績が同じ一貫校のグループの中での平均値と比べる、というやり方だ。

GMARCHへの進学者が一番多い一貫校同士でも、「早慶上智が第1志望だったがGMARCHに進学した」という生徒が多いのか、「GMARCHが第1志望でGMARCHに進学した」という生徒が多いのかで、この順位値は違ってくるというわけだ。進学実績としては同じ「GMARCH実績校」であるが、この順位値が大きければ大きいほど、目標が高い=意気込みが高いということになる。

そうしてみると、各々のグループの趨勢(すうせい)はあって、たとえば国立大学や早慶が狙える一貫校グループの場合、その順位値の平均は3.4くらいになる。
3から4ランク上の大学群を狙っているのが、この一貫校グループの平均だ、ということになるが、この何ランク上という狙い方が平均より仮に20%程度上回る一貫校を抽出してみたのが、この「大学実績の意気込みが高い」学校だ。

従って、これはその一貫校の生徒の意気込みと見るべきだろうが、ひいては学校の姿勢が背後にあると思われる。以下、実績大学群ごとに一貫校の名を挙げてみる。

難関一貫校の中には、
江戸川学園取手中・高等学校(茨城)、穎明館中学・高等学校(東京)、吉祥女子中学・高等学校(同)、巣鴨中学校・高等学校(同)、大妻中学高等学校(同)、学習院高等科(同)、豊島岡女子学園(同)、鴎友学園女子中学高等学校(同)、西武学園文理(埼玉)、浅野中学・高等学校(神奈川)、鎌倉女学院(同)などの名が見える。

上位一貫校の中では、
国府台女子学院(千葉)、佐野日本大学中学校・高等学校(栃木)、開智学園(埼玉)、森村学園中等部・高等部(神奈川)、カリタス女子中学高等学校(同)、清真学園高等学校・中学校(茨城)、足立学園中学校・高等学校(東京)、大妻多摩中学高等学校(同)、実践女子学園中学校・高等学校(同)の名が。

中堅一貫校の中では、
佼成学園女子中学高等学校(東京)、和洋九段女子中学校・高等学校(同)、淑徳巣鴨中学校・高等学校(同)、十文字中学・高等学校(同)、富士見丘中学校・高等学校(同)、麗澤中学・高等学校(千葉)、八千代松蔭学園(同)、横浜英和女学院中学高等学校(神奈川)、聖望学園中学校高等学校(埼玉)、大宮開成高等学校(同)の名が。

中下位校の中では、
武蔵野女子学院(東京)、滝野川女子学園中学高等学校(同)、かえつ有明中・高等学校(同)、聖和学院中学校・高等学校(神奈川)、相模女子大学高等部(同)、鶴見女子中学校・高等学校(同)、横須賀学院中学高等学校(同)、アレセイア湘南高等学校(同)、和洋国府台女子中学校・高等学校(千葉)、西武台千葉高等学校(同)、聖徳大学附属高等学校(同)の名が。

その他付属高の中では、
獨協埼玉中学・高等学校(埼玉)、工学院大学附属高等学校(東京)、明星中学高等学校(同)、関東学院六浦中学校・高等学校(神奈川)の名が見える。

もちろんこれは進路担当教諭の回答に基づくものを、上記のように、志望順位先がグループ平均より高いか低いかという尺度で意気込みの高さを算出しているので、その限りで見ていただきたい。

ただ総じて進学指導が熱心な学校が顔を出しており、順当なところではないか、と思う。


*このページに掲載のデータは、「私立中高一貫校の大学受験対策状況」学校ランク別 アンケート分析(森上教育研究所)に基づくものです。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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