変えることの重大さ[中学受験]

前回お話したとおり、偏差値として結果に表れるのは勉強し始めて3カ月かかるという。
仮に成績が大幅に上がらなくても、お子さまが勉強に対して前向きであり、意欲的に取り組んでいて、しかも少しずつでも前進しているようであれば、結果が出てくるのをお子さまと我慢して待つことである。上昇気流に乗れる可能性も十分あると思う。しかし努力していても何の変化もない場合は、勉強方法が悪い、あるいは通塾されている塾とお子さまが合わない、ということで塾を変えることも考えたほうが良いかもしれない。しかしながら何かを変えるというのは、非常に重大な決断であることも十分に理解したい。

たとえば、塾を変えるという決断。他の塾に行けば当然カリキュラムが違ってくるので、同じところを繰り返すとか、あるいは内容的に抜ける単元や分野が出てくる可能性がある。しかも子どもが新しい塾に慣れるまでには、やはり何週間かは必要であろうから時間的ロスも出てくる。新しい先生や友人達とうまく行かない可能性もあるし、うまくやっていくための新たな努力も必要である。このように考えると、塾を変わるということは金銭的なことの他に、時間的にも精神的にも新たな負担が子どもにかかることになるのである。しかしある程度長いスパンで考えても、どうもお子さまに力が付いていないと思われるのであれば、塾を変えるというのは必要な決断であろう。そしてあとで後悔しないように、「前期」のうちに今の塾で良いかどうかをチェックしておくことも必要かもしれない。たとえば「後期」になってしまうと、いくらお子さまがその塾に合わないと気が付いても、その時点で塾を変えるのはあまりにリスクが多いからである。
 
勉強方法や使用している参考書・問題集を変えることについても、十分に慎重でありたい。基本的には、一つの学習内容に対して一つの問題集・参考書が原則である。つまり漢字ドリルは、何か一つ決めたら、それをやり抜くのが受験の鉄則であるということだ。しかしいろいろな参考書・問題集を買い与え、十分にそれらを学習する時間が取れていないというのが現実のようである。考えてみればわかることだが、一つの学習内容に関して複数の参考書・問題集を勉強すると、必ず重複する箇所が出てきて時間的にロスになるのである。ましてやまだ終わっていないのに、新しい参考書・問題集を始めたら、今まで学習してきた内容さえしばらくの間は混乱してしまう可能性もある。参考書や問題集も慎重に選び、始めたら最後までやりとおしたいものである。

繰り返し言うが、「成績が下がっている」あるいは「志望校に比べて低迷している」という状態であれば塾を変えたり、勉強方法を変えたりするということを考えるべきだ。しかし成績が少しずつでも上がっていたり、良くなっていたりするのであれば変える必要はない。
「良い時は変えない」が、受験の基本である。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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