3カ月の辛抱[中学受験]

勉強を開始して、10日もすると成績が上がるのであれば、勉強もそんなに苦しいものではないかもしれない。でも現実は厳しいものであり、かなり集中して勉強しているのになかなか結果が出てこないことが多い。結果とは実力テストや模擬試験における得点や偏差値のことだが、なかなか上がらないと「本当にまじめにやっているのかしら?」「今の勉強法が違っているのではないの?」、または「通っている塾が合わないのでは?」と悪いほうに考えてしまうものである。
よく言われることだが、実際に偏差値として結果に表れるのは勉強し始めてから3カ月かかるという。ここまで我慢して勉強を続けられるかが問題である。具体的に考えると、2月の今から本格的な勉強を開始して5月に成績が伸びるかどうかなのだから、かなりの辛抱が必要であろう。しかしポーンと目に見える成績上昇が表れるとなによりも子どもが喜び、しかも「自分の勉強方法は間違っていない」と自信が持てるようになる。すると不思議なもので、あれほど嫌だった算数の問題演習がそれほど苦痛ではなくなる。するとますます、自分で進んで解いていこうという気持ちになるのである。
勉強が最初から好きな子どもはまれであろう。最初は好きではなくても、ライバルより少しできたり、だんだん内容がわかり始めたりして、初めて好きになるのである。このように勉強とは弾みがつくまでが大変苦労するものであり、目に見えて成績が変わってくるのを辛抱強く待たなければならないものなのである。辛抱して待つことの重要さを、知っておくべきであろう。

しかしながらひたすら待つのは、なんと言ってもつらいものがある。第一、子どもが本当は良い方向ではなく、悪い方向に向いている場合もあり得る。つまりどんどん塾の授業内容がわからなくなっていったり、苦手な単元や科目が増えてきたりということである。そしてひたすら3カ月待った結果が、成績の下降であっては問題をもっと悪化させることになる。
このような事態を避けるためには、お子さまの学力の向上を予想させる兆しの有無を観察する必要がある。たとえばお子さまが塾から帰ってきて、「今日は『比』の使い方が少しわかった」などと話せるならば、多少なりとも学習が進歩していると言えるであろう。しかし「なんだか良くわからない」とか、「まったくつまらない」と言うのでは成績の上昇は望めそうもない。あるいは、今まで苦手だった計算問題のミスが少なくなってきた、漢字が書けるようになってきた、というのでも良い。または今までブランクであった国語の記述問題が、多少なりとも埋められるようになってきたというのであればこれも進歩であり、成績向上の兆しと考えても良いだろう。こんな場合は、大いにほめてあげたい。お子さまは「やったー」という気持ちになり、ますます勉強に対する意欲がわいてくるであろう。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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