偏差値 その2「3年間偏差値40台のまま!」[中学受験]

前回に続いて偏差値の話。ある時、小学3年である塾に入って以来、小学5年の現在までの塾のテストの偏差値が40台のまま変わらない、というご相談があった。これは当然のことながらあまり良い状態ではない。しかし、どう良くないのだろう。

第1に「あまり良い成績でない」と3年間言われたり思ったりすることを、この前思春期の間に継続的に味わうことがともかく良くない。
前思春期は親子が親和的に過ごせる人生の至福の時のようなもの。なすべきことは親が子をいつくしむことである、と思う。
この期間を不遇に過ごす……つまり親の愛情薄く育つことは精神形成に暗い影を落とし、思春期に人間関係がうまくいかなくなる恐れがある。

第2に、良くない成績を取り続けることは自己肯定感を持ちにくくし、学習から遠ざかることを促すようなものである。成績は特に初学者にとっては励ましの手段であり、学習継続のためのエンジンである。従って成績が良いことが基本であって、悪い場合は次にどうすれば良くなるかを助言するチャンスなのだ。その逆で悪い成績を取り続ける状況を改善できないとすれば、むしろ自己肯定感を奪い続けているわけで、なるべく早くその状況を中止すべきであると考える。

ところが、入院した病院を変えることが難しいように、他塾に変わることもなかなか難しい。できればセカンド・オピニオンをとって決断を後押ししてもらうと良い。もっとも病院を変えず担当医を変えて済む場合もあるから、塾の場合もそれも含めて検討したい。

第3に、偏差値をそのまま評価基準として用いると学習意欲が冷却化する。そのようにしか偏差値を扱えないのなら、まったく百害あって一利なしである。偏差値による成績評価は「テスト結果についての情報」として活用し、専ら正答率の高い問題での失点をいかに少なくするかについて利用したい。

ざっと挙げても良くないことがこんなにある。偏差値60のままずっと3年間変わらないという高評価なら親子ともハッピーだろうが、偏差値が50を下回って変化がなければ学習方法自体を見直してほしい。

塾はましてお金を出してサービスを購入しているので、サービスにならないサービスなら改善をしたい。今の成績評価がはたしてお子さまの伸びる方向に寄与しているかどうか、是非点検をしてみてほしい。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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