漢字学習の今昔 これから求められる力は?

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昨夏、文部科学省は2024年度よりデジタル教科書を小学5年生から中学3年生の「英語」で先行導入する方針を固めました。

国語科のデジタル教科書全面導入に関する方針は発表されていませんが(2023年2月現在)、すでに一部の学校では国語の授業でデジタル教科書・ICT機器を導入・活用しています。

保護者世代にはあまりなじみのないデジタル教科書やタブレットなどのICT機器を活用した学習では、学習の仕方はどのように変わっているのでしょうか。

今回は、かつてはひたすら反復して書いて覚えることの多かった国語の「漢字」に焦点を当てて、これからの漢字学習についてお伝えしたいと思います。

漢字の書き順はアニメーションで確認

お子さまの漢字の宿題や小テストなどを見て、「点が一つ足りないな」「線が一本多いな」などと思ったことはないでしょうか。
漢字の学習において間違えやすいところの一つが、漢字の正しい形です。

デジタル教科書やタブレットなどのICT機器を利用した授業に変わっていっても、漢字を覚えるためには、やはり手で書くというプロセスが必要です。

しかし、デジタル教科書やタブレット学習では漢字を正しい形で覚えやすくする機能・しかけが入っているものも多くあります。その機能の一つが「書き順アニメーション」です。

「書き順アニメーション」とは、一画ごとの正しい書き方をアニメーションが書き順通りに示してくれるものです。デジタル教科書などに入っている書き順アニメーションをお子さまと一緒に見てみましょう。アニメーションに合わせて指やペンを動かしてみるのもおすすめです。漠然と全体の形を覚えるのではなく、一画一画の過程をアニメーションに合わせてなぞることで、点の有無や数、線の本数などを意識して覚えることができます。また、書き順も覚えられるため、きれいで読みやすい漢字を書けるようになるメリットもありますね。

  • ・デジタルならではの機能を生かす
  • ・アニメーションで漢字の正しい形を定着させる

今後、漢字の読み・同音異義語の使い分けはさらに重要に

《子どもが、漢字がわからないときに読み方を入力し、予測変換で出てきた漢字を見てノートに書き写していた》
すでにICT機器を活用している学校でお伺いした話です。
スマートフォンを日々持ち歩いている保護者世代も共感できる事例かと思います。これからますます、デジタル機器で漢字を調べる機会が増えていくことでしょう。

しかし、同音異義語など、同じ読み方でも表記が異なる漢字や熟語を使い分けなければならないことがあるため、正しい読み方を知り、正しく漢字を使い分ける力は今まで以上に重要となってきます。これらの力はどのように養えばよいでしょうか。

●漢字の正しい読み方

教科書などで出てくる漢字の読み方を確認するのはもちろんですが、お子さまとの日常会話の中でもできることは多くあります。

たとえば、一緒にニュースを見て話しているときに、テロップで出てきた「気象」を間違って読んでいたり、読み方に悩んでいたりしたら、「きしょうって読むんだよ」と声をかけるとよいでしょう。そのときに漢字辞典などを使って、同じ漢字を使った言葉を確認すると、知識が広がります。

日々の会話のなかでお子さまの語彙(ごい)と漢字の読みの知識を増やすことで、漢字の正しい読み方が身に付き、デジタル機器で漢字を調べる力を養うことができます。

●同音異義語(同訓異字)の正しい使い分け

正しい読み方がわかっていても、同じ読み方で異なる漢字も多くあります。
そのため、文脈に合う漢字を使い分ける力も重要になってきます。この力を養うためには漢字や熟語の意味を知ることが大切です。

たとえば、同じ「かんしん」でも「関心」と「感心」がありますね。
この「かんしん」の使い分けを苦手とするお子さまは多いですが、お子さまと一緒に漢字辞典を引いてみることで、漢字の意味や他の熟語から、使い分けの手がかりを見つけることができます。「関心」の「関」は「関係」「関連」など「関わる」ことを意味し、「感心」の「感」は「感動」「感服」など「心が動く」ことを意味します(※「関心」は「気にかけること」「興味をひかれること」を意味し、「感心」は「心に深く感じること」「りっぱだと思うこと」を意味します)

使い分けに迷う漢字の意味や他の熟語を知ることで、同音異義語(同訓異字)から文脈に合うものを選ぶ力を養えます。

  • ・漢字の読み方は日常会話のなかでも覚えられる
  • ・同音異義語は漢字の意味や他の熟語を考える

まとめ & 実践 TIPS

科学技術が進歩するなかで、保護者世代が学んできた学習方法から変わる部分も多くあります。今回ご紹介したもの以外にも漢字の学習に有効な機能はありますし、重要な力も増えたり変わったりしていくでしょう。だからこそ、学習に有効な機能は積極的に活用し、求められる力の変化に柔軟に対応していきましょう。

株式会社プランディット 国語課 橋本(はしもと)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの国語の教材編集を担当。

プロフィール



1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

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