【英語】2023年大学入学共通テストはどうだった?分析と対策

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1月15日、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)英語が実施されました。
全大問が読解問題で出題され、実際に英語を使用する場面を想定したさまざまな媒体・場面設定の英文を読み取る力が求められました。

2023年度の共通テスト『英語』の分析と、その分析を踏まえた次年度以降の対策についてお伝えします。

この記事のポイント

【リーディング】昨年よりやや難化。昨年に引き続き全大問で読解問題が出題された

まず、リーディングについてお伝えします。
リーディングについて、特筆すべき内容は主に次の3点です。

  • ■昨年度に引き続き、読解問題のみ出題された。語数・問題量は昨年度から変化なし
  • ■さまざまな媒体(広告・ニュースレター・ブログ・論説文)の読み取りが出題された
  • ■プレゼンテーションのスライドを完成させる問題が出題されるなど、情報を整理する力が問われた

■昨年度に引き続き、読解問題のみ出題された。語数・問題量は昨年度から変化なし

昨年度に引き続き、全6大問すべてで読解問題が出題されました。
リード文・問題文・選択肢すべてが英語で記載されているため、本文だけでなくリード文から場面設定を正確に読み取る英語力も求められました。

昨年度の共通テスト英語(リーディング)と比べ、本文の語数や問題量に変化はありませんが、後半で多面的かつ細部の情報整理を求められる問題が多く出題されたため、昨年度と比較してやや難化したといえます。

■さまざまな媒体(広告・ニュースレター・ブログ・論説文)の読み取りが出題された

リーディングでは、広告やニュースレター、ブログ、論説文など多岐にわたるジャンル・場面設定の英文が出題されました。

第4問では、「効果的な学習法」に関しての2つの記事を読み、各文章の趣旨や図表を読み取ったうえで、それぞれの書き手の意見や相違点を把握することが求められました。

また、第5問では、「卓球を通じて学んだコミュニケーションの重要性」についての文章と、それを読んで作成した要約メモが出題されました。文章の内容を理解したうえで、作成したメモ内で出来事を時系列に並べる問題や、読み取れる教訓を選ぶ問題が出題され、文章全体を正確に読み取る力が求められました。

全体を通して、日常的なコミュニケーションや実際に英語を使用する場面が出題され、実践的な英語力が求められる傾向がうかがえました。

■プレゼンテーションのスライドを完成させる問題が出題されるなど、情報を整理する力が問われた

第6問Bでは、「クマムシ」について書かれた英文を読み取り、プレゼンテーションのスライドを作成する問題が出題されました。

英文の内容とスライドに記載されている内容とを照らし合わせ、必要な情報を取捨選択する必要がありました。クマムシの細かい部位についての記述の整理や、記事中に述べられていない内容の推論が求められ、細部の読み取りに時間を要する出題となっていました。

また、昨年度に引き続き、複数解答の問題も出題され、全体的に読み取った情報を細部まで精査する力が求められました。

英語を逐語的に日本語に訳すような英文読解ではなく、英文の内容を理解したうえで情報を活用して解答する必要がある点が、共通テスト英語(リーディング)の特徴といえます。

【リスニング】昨年よりやや易化。ネイティブ以外の話者の発話での出題も

次に、リスニングについてお伝えします。

  • ■昨年度より取り組みやすい問題となり、やや易化
  • ■昨年度に引き続き、ネイティブ以外の発話での出題あり

■昨年度より取り組みやすい問題となり、やや易化

昨年度同様、第1問・第2問は音声が流れる回数が2回、第3問~第6問は音声が流れる回数が1回の問題が出題されました。

大問数や解答数に変化はありませんでしたが、昨年の共通テストで出題された、イラストを並び替える問題は出題されませんでした。

音声情報の聞き取りとともに、記載された図表やワークシートといった視覚情報の読み取りが必要な問題が多く出題されました。

第4問Aでは、図表を完成させる問題が出題されました。
問18~問21はグラフの横軸を解答する問題で、年度による数値の変化を正しく聞き取り、適切な選択肢を選ぶ必要がありました。

放送文からの言い換えに注意が必要な問題もありましたが、全体的に昨年度に比べて取り組みやすい内容で、やや易化したといえます。

■昨年度に引き続き、ネイティブ以外の発話での出題あり

昨年度に引き続き、アメリカ英語・イギリス英語の話者による発話が確認されたほか、ネイティブ以外の話者による発話での出題がありました。

第6問Bでは、昨年度同様4人の話者による会話文の聞き取り問題が出題されました。

就職が決まった4人の若者が、住む場所について意見交換をする場面が題材でした。ネイティブ以外の話者を含む4人それぞれの主張を聞き取って考えの根拠となる図表を選び、それぞれの最終的な意見をとらえる問題が出題されました。4人の話者の発話の違いに着目することが、それぞれの人物を認識するのに有用でした。

次年度以降も、アメリカ英語・イギリス英語以外の話者による発話や、非ネイティブ話者の発話による出題が予想されます

次年度以降に向けて、どのような対策が必要か?

  • ■リーディング:英文全体の要旨や論理展開をすばやく把握する速読力と、図表・グラフと英文の内容を整理して解答を導く思考力の養成が求められる
  • ■リスニング:1回読みのリスニング問題を反復演習し、聞き取るべき内容を迅速に把握する力と、聞き取った内容の言い換え表現への対応力が求められる

リーディングでは、センター試験から大幅増加した昨年度の語数と同程度の分量が今年度も出題されたことから、英文全体の内容をすばやく理解する速読力が求められます。

また、単独での出題はありませんが、文意を正しく理解するために基本的な語彙(ごい)力・文法力を身に付ける必要があります。語彙力・文法力という英文読解における基礎を鍛えたうえで、複数の資料を統合して解答する問題の演習を多く取り入れ、情報を迅速に処理する力を養成することが大切です。

リスニングは、1回読みのリスニング問題が多く出題されます。
そのため、場面の詳細な設定や与えられた資料・図表を聞き取った情報と併せてすばやく整理し、解答する力が必要です。

解答に必要な情報をスムーズに把握できるよう、1回読みのリスニング問題に反復して取り組みましょう。

また、複数の情報を統合して答えを導き出すというプロセスはリーディングで求められる力と共通しているため、リーディングの演習もリスニングの対策につながります。

また、リスニングは聞き取った情報が他の表現に言い換えられて出題されることが多いため、言い換え表現に気が付けるよう、日頃からさまざまな英語表現に触れる演習も有効です。

まとめ & 実践 TIPS

大学入学共通テストの英語では、リーディング・リスニングともに実践的なコミュニケーションの場面が出題されます。さまざまな媒体・テーマの英文に対応できる力を培うため、多くの問題で演習を積むことが重要です。今年度の出題内容を踏まえ、次年度に向けての準備を進めましょう。

株式会社プランディット 英語課 堀内(ほりうち)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの英語教材の編集を担当。

プロフィール



1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

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