弱点補強は一科目から、一単元から[中学受験]

「勉強ができるようになりたければ、まずは得意科目を一つ作りなさい」「得意科目を作りたければ、得意な単元を一つ作りなさい」とはよく言われることである。これはなかなか本質をついている言葉であると思う。
たとえば算数が得意であったとすれば、「自分は算数だけは得意だ」「やれば国語や社会もできる」という気持ちになれる。
復習や予習などの勉強の仕方も他の科目に応用できることが多いので、結果として他教科もできるようになる場合が多いのである。

また算数で得意単元を一つ作ると、他の単元も徐々にできるようになる。
その理由は、算数の基本的な解き方を体験的に覚えるからである。
算数には、「解法のパターン」と呼べる解法の手順があると考える。
たとえば算数の問題を解く時は、(1)まず問題を読んで、問題の「条件整理」を行ったり、隠れた条件を見つけたりする (2)次に問題のなかのどこかに「着目」して、解くための糸口や方向を考える (3)解くために必要な「公式」や「良く使う解き方」を考え (4)最後に計算して答を出す……という流れである。
もちろん問題が複雑になれば、この(1)から(4)の手順を繰り返すことになるのだが、生徒はこういった流れを理論的に覚えるのではなく、経験的に身に付けていくのである。
たとえば図形問題を解く時を具体的に考えてみる。
問題文と図形が表示されている図形の問題を解く場合、まずは問題文をよく読み、条件に線を引く。そしてすべての条件を図に書き入れて、図で考える。これが図形問題の基本であり、図形問題の「条件整理」の方法である。
しかし図形が苦手な生徒は、このような基本的な「条件整理」をやっていない場合が多い。

もしお子さまが「図形が苦手」というのであれば、図形の問題を解いている様子を見てみるとよい。
たとえば、「図形に数字や印を書き込んで図形で考える」ことをせずに、問題文と図形を交互に見ているだけではないか。
もしこのような状態であるならば、「手を動かす」とか、「解法のパターン」の最初の段階である「条件整理」がうまくやれていないのである。これではいくら待っていても、答は出てこない。

逆に図形問題を通じてこの「解き方の手順」を身に付ければ、文章題も同じように考えることができるようになる。
つまり問題文を読んで、条件など重要な箇所に線を引き、図や線分図などを自分で描いて「条件整理」することで、解法の手順を一歩進めることができるということである。

なお前にも述べたように、単元的なまとまりを意識する必要がある。
つまり「その単元を知らないと、次の単元を理解するのに支障がある」という意味での「まとまり」である。
たとえば図形で考えれば、「図形の性質」→「平面図形」→「立体図形」という具合に学習してきたと思うが、ここには単元的なつながりがあるからである。
また図形の問題でも「比」を使って解く場合が多いので、「比」の使い方がわからないために「立体図形」が解けない可能性もある。
ということで、「立体図形」が苦手な場合には、「立体図形」自体に問題があるのか、あるいはそれに関連する単元(たとえば「平面図形」など)が問題なのか、「まとまり」で考える必要がある。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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