男の子の前に立ちはだかる何か[中学受験]

謙虚さ……男の子を伸ばすコツ」の回で触れたとおり、男の子はどこかのタイミングで謙虚さを学ぶことができれば、そこからの伸びはそれまでとは全く違うものがある。

子どもというものは力の差に非常に敏感で、本能的に謙虚にふるまって身を守ろうとする。
新中1が上級生の前では羊のようにおとなしいのは、彼らにとって圧倒的な力の差のある上級生や教師の集団の前では謙虚であることを要求されているようなものだからである。
実際には、中学受験から中学校に入学したあたりの思春期の始まりのころには、謙虚さなどというものとは無縁である。

しかし、この時期に謙虚さを身につけて、学力の基礎をしっかりマスターできるように、指導を受けておけば、高校、特に難関校に入ってから、これもできないのか、とばかりに難問をぶつけられてきても切り抜けていけるのである。
学力の基礎がなければ、難問が解けないのは当たり前で、難関校で落ちこぼれるパターンは、大体がこういう経緯をたどっている。
早い時期に謙虚さを身に付けられれば、それはそれで身を守ることができ、落ちこぼれるといったパターンは避けられるのである。

しかし最近はこうしたパターンだけではなくなった。
中1や中2のあたりから落ちこぼれる生徒も少なくない。ひどい例になると、中1の2学期からもうさっぱりついていけない、というケースも散見する。
某難関校では学年末の進級会議を、担任教科の教師の合議制から、成績のみに基づいた機械的な事務処理に移行したそうだが、救いようのない生徒が文字どおりに救えないのではと危惧している。

どうしてこんなに早くから落ちこぼれるようになったのかといえば、難関校の授業は、中学受験塾で受身の学び方では通用しないことに加え、生徒の授業態度が塾での態度そのままに、授業全壊的な騒がしさを引きずっている、というのが関係者の見方である。
要は、受験の際に謙虚さを身にまとうことに失敗したことが、早くから落ちこぼれを生み出している原因なのだ。

こうした事態を避けるために、男の子には早くから謙虚さを身に付けさせることが、男の子をもつ親の子育て上の生活の知恵ともいうべきことである。
古の賢人、アラゴンも「学ぶことは誠実を胸に刻むこと」と言っているように。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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