謙虚さ……男の子を伸ばすコツ[中学受験]

「男の子に一番効くのは『こんなこともわからないのか』と叱咤すること」。
このところ東京大学や医学部などの難関とされる大学への合格実績を出している先生方に、その指導の成功の秘訣を聞いたときに出てくるコトバの、いわばキーワードである。
それは指導上のポイントであるとともに、ご本人の成功のコツでもある。このことをもう少し直截な言い方で元開成高校の先生はこう表現してくれた。

およそ男の子のお子さまをおもちのかたは「我が子がなぜかくも根拠のない自信をもっているのか」と当惑することが一再ならずあるのではないだろうか。
たとえばそれなりの難関校になると「東大に入るのは当然だ」という自信を満々とたたえた生徒がいる。その表情にはそれなりの根拠、たとえばそれにふさわしい努力、適切なトレーニング、着実な成果の積み上げ……etc,そういうものがあってこその余裕と信じたいところだ。しかし、信じようにも信じがたい不作為と目標のギャップに、親は「何とかにつける薬はない」というかなり深刻な絶望にしばしばとらわれるはずだ。読者のお子さまがそうでないことを祈りたいが。

明治学園中学校という福岡のカトリック校の柴山学園長(シスター)は大いなる教育者だ。医学部合格者を全国でも屈指の率で輩出するこの学園のリーダーは、そのコツをさすがに「謙虚にさせる」と表現された。きっと世俗的な言い方に直せば「その高い鼻をへし折る」ということかもしれない。さすがに成績の良い子の集まる学校には、それなりの「へし折り」のスキルをもつ先生方がいるのである。ただし、首都圏の多くの難関男子校では、その生徒の様子をみる限り必ずしも成功していない感じもする。
というのも、一つには教師がコケおどしで鼻をへし折るために、逆に生徒が萎縮してしまった場合も少なくないようなのだ。

もっともさして難関校でもないごくごく普通の中学校では、それこそ実力を伴わないにもかかわらずほめそやす評価が蔓延していて、全能感ともいわれる生徒の自己評価がバブリーになる傾向が近年は強い。多くのベテラン指導者は高校2年生あたりでガツンと一発、元開成の先生がしたように喝を入れることが良い結果を生むと言う。その時期に喝を入れる指導者にめぐり会えるように男の子の親は祈りたい。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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