小学校教員の英語力強化は採用試験から 実技や資格検定の活用増える

次の学習指導要領改訂では、小学5・6年生で「英語」が教科となる他、現行の「外国語活動」は3・4年生に前倒しされる見通しです。また、中学校の英語の授業も、現行の高校と同じく、原則として英語で指導することが見込まれています。


小学校教員の英語力強化は採用試験から 実技や資格検定の活用増える



しかし、ここで心配されるのが、小学校教員を中心とする、教員の英語力でしょう。文部科学省の2016(平成28)年度公立学校教員採用選考試験実施方法調査によると、実践的な英語力のある人材を採用するため、採用試験の方法を工夫する教育委員会が増えていることがわかりました。調査は、教員採用をしている68教委(47都道府県、20政令指定都市、大阪府から採用権を委譲された豊能地区教委)を対象に実施しました。

  • ※平成28年度公立学校教員採用選考試験の実施方法について
  • http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/senkou/1366686.htm

まず、小学校教員の採用試験の中で、52教委(前年度49教委)が、筆記試験の中に「外国語活動」に関する内容を加えています。小学校教員の実技試験の中でも「外国語活動」を課しているのが23教委(同20教委)となっており、リスニングやスピーチ、英語による面接などで、実際の英会話能力を評価しています。次期学習指導要領の改訂に向けて、小学校教員にも英語力が重視される傾向は、今後ますます強くなってくるでしょう。

一方、これから中学校では、原則として英語のみによる授業が行われることになり、英語の知識と同時に、英会話能力などが求められることになります。高校でも、今まで以上に生徒のコミュニケーション能力の育成を目指すため、実践的な英語力は欠かせません。このため英語教員の採用試験では、中学校では68教委すべて、高校でも54教委が、それぞれ実技試験を課しています。

それ以外に、小学校教員採用も含め、英検・TOEFL・GTECなどの英語能力資格・検定試験で、一定以上の資格や点数を取っている者に対して、何らかの優遇措置を導入する教委が最近、増えています。能力試験の点数などによって一部試験免除をしているのは、北海道・札幌市、福島県、千葉県・市など19教委(前年度19教委)、英語資格を持つ者に一般試験とは別枠の「特別の選考」を実施しているのは青森県、神奈川県、富山県など17教委(同17教委)と、いずれも前年度と同じでした。

また、一般試験枠の中で英語資格者に対して「加点制度」を実施しているのは奈良県、広島県・市など16教委(同8教委)で、前年度よりも倍増しました。英語能力試験などの資格者に対する優遇は、これからも増えることが予想されます。また小学校教員採用で、中学校や高校の英語教員免許を持っている者を優遇する教委もあります。

この他、民間企業出身者などを対象にした「特別の選考」を実施したのは42教委(前年度40教委)で、全体では53教委(同49教委)が民間企業での勤務経験などを考慮した採用を行っています。

グローバル人材の育成のためには、実践的な英語力や多様な経験を持つ教員が必要となります。そのためにも、より多様な人材を教員として採用する工夫が求められます。

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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