小学校英語教科化で検討されている「モジュール学習」ってどんなもの?
中央教育審議会では、次期学習指導要領の基本方針で、教科に格上げされる小学校高学年の英語教育について、10~15分程度の「モジュール学習」「帯学習」と呼ばれる短時間学習を導入することを提案している。一体どのようなものなのだろうか。ベネッセ教育情報サイトでは、教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に解説してもらった。
モジュール学習という名前は、たとえば45分の授業を15分のモジュール(構成要素)に分け、それが3つ集まって1回分の授業とカウントすることから来ています。帯学習は、たとえば始業前の毎日15分を充てた時、週の時間割表で細い(短い)帯のように並ぶことから、そう呼ばれています。朝読書や算数ドリルなども含めれば、既に実施しているという学校も少なくないのではないでしょうか。今の学習指導要領では、きちんと授業の体制を整えていれば、正式な授業時数にカウントすることができるとしています。ここからは、帯学習も含めて「モジュール学習」と呼ぶことにします。
高学年の外国語活動を「英語科」に格上げするにあたっては、これまでの「聞く」「話す」だけでなく、アルファベットの文字や単語も使って「読む」「書く」の4技能すべてを扱う方針が、有識者会議から既に示されています。現在、高学年で必修となっている「外国語活動」の標準授業時数は年間35時間ですが、中教審の部会では、現在の倍の年間70時間程度が必要だと判断しました。
しかし小学校の4~6年生は、現行の指導要領で前より週1コマ増やして週28コマ(6時間授業が3日と5時間授業が2日)にしており、そのもとになった中教審答申でも「週28コマが限度」としていました。増やす35時間(1コマ)分を時間割に入れたら、「7時間授業」の日ができてしまいます。そこで登場したのが、モジュール学習です。習熟が必要な学習をモジュールの時間に回せば、毎日のように繰り返して定着も図れるので、一石二鳥というわけです。
しかし、既に朝読書や朝学習などを実施している学校は、その継続が難しくなるかもしれません。これらは学力向上にもよい影響を与えていると評価されることも多いだけに、学校としては悩ましいかもしれません。
出典:小学校英語の「モジュール(帯)学習」って? ‐ ベネッセ教育情報サイト