欧州標準で受験生の英語力判別 導入が予想されるCEFR(セファール)とは
文部科学省の有識者会議が、大学入試に英検やTOEFLなど外部の英語能力検定試験の活用を検討していることから、高校の授業も「読む」「書く」中心から、「聞く」「話す」も含めた「4技能」をバランスよく身に付けさせる効果が期待される。さらに、外部試験の活用による影響は、それだけではないようだ。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏が解説する。
***
いま英語教育関係者の間で注目されているのが、欧州のCEFR(セファール)です。「外国語の学習・教授・評価のための欧州共通参照枠」(Common European Framework of Reference for Languages:Learning,teaching,assessment)のことで、初等中等教育(小・中・高校相当)の外国語の運用能力がA1からC2まで6段階で示されています。たとえばA(基礎段階の言語使用者)2は日常的な範囲なら単純な情報交換に応じることができるレベル……といったように、文章で基準が示されています。
文部科学省は主要な外部検定試験について、CEFRとの対照表を作成し、有識者会議に示しました。たとえば英検2級(高校卒業程度)はCEFRのB1レベルである、といった具合に、比較ができます。こうした対照表があれば、大学が入試などに外部試験を活用する場合、「うちの学部はB1くらい身に付けておいてほしい」「B2なら英語は満点で換算する」「本学は入れてから鍛えるのでA2で十分」などと具体的に示すことができます。
ただし、今後設置される協議会で、その妥当性なども検証することにしています。
CEFRはあくまで欧州の基準であり、日本での英語学習に必ずしも当てはめるべきではないという異論も有識者会議の委員の中にはあります。ただ、有識者会議の下に設けられた小委員会の「審議のまとめ」でも、日本の国際競争力を高めるための総合的な英語力向上には「世界標準を視野に入れた目標設定」が必要だと指摘しています。本格的な学習指導要領の改訂論議は秋以降に中央教育審議会で行われる見通しですが、有識者会議での議論が大いに影響することが予想されます。
出典:日本の英語教育も「世界標準」に? 外部試験の導入論議きっかけ -ベネッセ教育情報サイト