「三単現のs」って何? 英語教育の専門家が子どもの苦手意識を取り除く
「聞く」「話す」「読む」「書く」など、「使う」力が求められている中学校の英語。ベネッセ教育総合研究所が2009年に実施した調査では、「英語が苦手」と答えた生徒が6割に上っている。苦手意識を払しょくし、英語力を伸ばすためには何が必要なのだろう? 英語教育の専門家であり、「世界の100人の教師」に選ばれたこともある関西大学教授の田尻悟郎氏に、中学英語でつまずきやすい一般動詞「三単現のs」の学習法を教えてもらった。
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英語の勉強でいちばん難しいのが、日本語との語順の違いです。たとえば、英語の語順を知っていると、こんな文ができます。
Goro eats udon with a fork in his room every night.
(ゴローは/食べる/うどんを/フォークで/彼の部屋で/毎晩)
この文ではeatのあとに「s」が見えています。これは何かというと、隠れているdoesの「s」です。この文を疑問文にする時は、隠れていたものが前に出てきます。
Does Goro eat udon with a fork in his room every night?
動詞の後ろに隠れているdoesは助動詞と呼ばれるもので、「習慣として」「定期的に」「現在」といった意味があります。動詞は、常に助動詞と一緒に使われます。
たとえば、
「can eat」は、「食べることができる」
「will eat」は、「食べるつもりだ」「食べるでしょう」
という意味になります。
「do eat」の場合は、「普段から食べています」「現在食べています」といった意味になります。
普通、助動詞は動詞の前に置きますが、do, does, didだけは、恥ずかしがり屋で後ろに隠れてしまい、「do eat」とは言わずに「eat」だけが残ります。「does eat」の場合も、doesは隠れてしまいますが、語尾の「s」だけが残り、動詞に付けられます。それが「三単現のs」です。
動詞は必ず助動詞と一緒に出てきますが、do, does, did だけは後ろに隠れてしまうということを、ぜひ頭に入れておいてください。英語学習のスタートで大切なことは、語順の理解と、それを疑問文にしたり答えたりする力を付けることなのです。