小学生が共通テストの「情報Ⅰ」に挑戦!プログラミング学習で身に付く力とは?

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  • プログラミング

令和7年度の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)から入試教科に加わった「情報Ⅰ」。
現在は国公立大の一般選抜で主に取り入れられていますが、一部の私立大では共通テスト利用入試などで選択科目として導入する動きも見られ、今後ますます「情報Ⅰ」の重要性は高まると推測されています。

では、「情報Ⅰ」ではどんな力が問われているのでしょうか?
またその力は、どのくらいの年齢から培うことができるのでしょうか?

その答えを探るためにベネッセでは、数年間プログラミング学習に取り組んできた小学生に共通テストの問題を解いてもらいました。
当日の模様や、お子さまたち・保護者の方々にいただいた意見からわかった、早期からのプログラミング学習で期待できる力についてご紹介します。

この記事のポイント

共通テストの「情報Ⅰ」はどんな内容?難しさはどのくらい?

まずは、令和7年度の共通テストで出題された「情報Ⅰ」の問題について、概要を見てみましょう。
「情報Ⅰ」は、「情報社会の問題解決」「コミュニケーションと情報デザイン」「コンピュータとプログラミング」「情報通信ネットワークとデータの活用」の4つの領域から出題されます。
令和7年度は4つの大問構成で、以下の内容でした。

  • 第1問 小問集合
  • 第2問 領域融合・モデル化とシミュレーション
  • 第3問 プログラミング
  • 第4問 データの活用

読み取らなければならない文章量も設問数も非常に多く、かなりの解答スピードが求められ、前述した4つの領域に関して幅広い知識を活用して解くことが必要です。
また、身近な事象との関連を問われる問題や、小・中学校や高校の他教科で学んだことを活用して考える問題も見られました。
受験生全体の平均点は、100点満点69.26点で、「それほど難度が高くなかったのでは?」と感じるかたもいらっしゃるかもしれませんが、決して簡単なテストではないのです。

【ドキュメント】小学生6人に「情報Ⅰ」の問題を解いてもらった!

今回、共通テストの「情報Ⅰ」にチャレンジしてもらったのは、プログラミングや情報活用の力を育成する講座(以下、プログラミング学習)で3年以上学習を続けている6人の小学5~6年生。
制限時間は、共通テスト本番と同じ60分に設定しました。
問題の中には、小学生が習っていない知識や用語も多数登場します。
でも、「現段階でどのくらい解けるのか?」を測るために、小学生が学習していない漢字にふりがなをふるだけで、あえて用語解説などはせずに解いてもらいました。

テストが始まると、参加者たちはすぐ問題に集中。
共通テストは高校3年生以上の人を対象としたテストですから、小学校高学年にとってハードルが高いことは間違いないでしょう。
それでも投げ出すことはなく、解くための計算をしたり、すべての大問の中から解きやすそうな問題を探したりして取り組んでいました。
開始前に「わからない言葉があったら質問してね」と声をかけてあったのですが、誰からも声がかからず、全員が自分なりのやり方で解答。

テスト終了15分前になると、さすがに少し疲れてきた様子のお子さまも見られたので、用意してあったお菓子や飲み物を配りました。何人かはおやつを食べながら解き進め、やがて制限時間に。
一人ひとりに感想を聞いてみると、「問題文が長くて読むのが大変だった」「難しかった……」という声と共に、「わかったところもあった」という意見も多数。
そしてどのお子さまの顔も、「やりきった!」という充実感で輝いていました。

【結果分析】難しい問題でも大健闘!半分以上解けたお子さまも

解いてもらったテストを採点したところ、そもそも小学生には難しい挑戦であるにも関わらず、なんと6人の正答率が5割を超えた設問も多数ありました。
特に、4つの大問の中でも第2問のA(スーパーのレシートを見て、店の店長とスタッフの会話と関連づけて答える問題)は特に正答率が高く、小問7問のうち正答率が8割を上回った問題が3問ありました。
そして、中には半分以上正解のお子さまも!

出典:大学入試センター「令和七年度大学入学共通テスト 情報Ⅰ」

小学校では習わない学習項目が出てきたり、「識別番号」「購入履歴」「比例尺度」など小学生にとって難しいと思われる語彙(ごい)が頻出したりするなかで、想像以上の好結果と言えるでしょう。
今回チャレンジしてくれた小学生のみなさんからは、以下のような感想が上がりました。

■共通テストの「情報Ⅰ」を解いた小学生の感想

  • プログラミング学習で、スクラッチのプログラミングを何度も失敗しながら成功したのを思い出して、今回も「こうかな? それともこうかな?」といろいろ試しながら解いた。
  • 第2問のスーパーのレシートが出てくる問題は、プログラミング学習で情報や商品の流れを学んでいたから解けた。
  • 第1問のパソコンの画面の問題について答える問題は、プログラミング学習でコンピュータのしくみやWebデザインのことを学んでいなかったらできなかったかな、と思う。
  • 第1問のデジタル数字の問題は、途中から前に学習したことと関係があると気づいて「あー、こういうことなんだな」とわかった。

プログラミング学習の大きな目的は、これからの時代を生きるのに必要な情報活用能力を育成することにあります。
情報活用能力とは、膨大な情報の中から必要なものを選び取ったり、正しく分析したり、人に正確に情報を伝えたり、コンピュータに正しく指示を出したりする力です。
高校で学ぶ「情報Ⅰ」も、こうした力を養うカリキュラムが組まれています。
小学生の感想を見ると、プログラミング学習で培われた情報活用能力をはじめ、授業で習った知識、日常生活で経験した知識を生かしながら、思考・判断力を駆使して解いた様子がわかります。
また、全員が最後まであきらめずに取り組んだことや、それぞれの人の感想からは、粘り強さや表現力の高さもうかがえますね。

保護者のかたが感じている、プログラミング学習に関する期待は?

一方、お子さまがプログラミング学習に取り組んだ数年間を見守ってきた保護者のかたにも、「どんな力が身に付くことを期待していますか?」「お子さまの変化や成長を感じますか?」といった質問を投げかけました。
何人かのかたの声をご紹介します。

Aさん
我が子は自分の思いや経験を言葉として組み立てるのが苦手だったので、「論理的な思考力が身に付けば」と思ってプログラミング学習をすすめました。
特に「情報デザイン」の分野は好きなようで、小学校の算数でもデータの見せ方などに興味を示しています。小学4年生の時に学校でプログラミングの授業があり、すでに知っている知識も多くて周りのお子さんより理解できたと実感できたことは、大きな自信になったそうです。
何より、「次はどんなことを勉強するのかな?」と楽しく取り組んでいる姿を見るとうれしくなりますね。

Bさん
周りの友達でプログラミング教室に通っている子が多く、「自分もプログラミングを勉強したい」と言い出したので習わせることにしました。
また、令和7年度から情報が大学入試にも加わると聞いていたため、「小さい頃からプログラミングを学んでおけば苦手意識を持たなくていいかな」とも考えました。
学び始めてから3年。プログラミングの知識もさることながら、情報セキュリティやAIについて話してくれることも多く、「情報リテラシーが身についてきたし、世の中の動きにも敏感だな」と頼もしく感じます。
保護者である私自身はプログラミングの知識がなく、ICT関連で不便を感じることもあります。
これまでは苦手でも何とかなった面はありますが、今後の社会ではプログラミングのスキルがますます求められるでしょう。
子どもには、今のうちからプログラミングに慣れ親しんでもらって、大人になってから活躍の場を広げてほしいな、と願っています。

Cさん
子どもがプログラミングの学習を始めたいと言い出したのは、コロナ禍が始まったころからでした。
私が在宅勤務をするようになり、自宅でパソコンを使って仕事をしているのを見て、「何をしているのかな?」と興味を持ったことがきっかけだったようです。
ICT機器の使い方は保護者でも教えられるけれど、「なぜ機器がそのように動くのか」といった仕組みを教えるのは難しいので、ゲーム感覚で学びながら自然と知識を身に付けてくれるのがありがたいですね。
学校でもプログラミングの授業があり、友達から「わからないから教えて」と頼られるのがうれしい、と話してくれています。
いずれ大学入試で「情報Ⅰ」を受ける可能性も高いので、今から得意意識を持って学び続けてくれるといいな、と感じます。

情報を使いこなす力は、未来を生きるお子さまに必須

今回参加した小学生は「好き」「やってみたい」という気持ちからプログラミング学習を始めています。
「おもしろい」「できることが増えてうれしい」という気持ちが、今回の「大学入試問題に挑戦してみよう」「最後まで解いてみよう」という積極的な気持ちにつながったのかもしれません。
また、プログラミング学習は「情報を活用する力」を身に付けるための学びであり、この力は、これからの時代を生きるには不可欠のものです。
「楽しい」「もっとやってみたい」というお子さまの気持ちを大切に、プログラミング的思考や情報を使いこなす力が自然と身に付くよう、サポートしてあげるのもよいですね。

監修

  • プログラミング

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