正解は自分の中に!アート鑑賞で育む「生きる力」【直島アート便り】

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ベネッセアートサイト直島では、作品鑑賞をとおしてさまざまな分野に視野を広げるプログラムを実施しています。
2023年4月には、岡山理科大学附属高等学校の生徒が「自分のこと、未来のことを自分なりに考える」をテーマに、直島にて研修を行いました。進路選択を目前に控えた生徒たちは、直島での体験をとおしてどんなことを考えたのでしょうか。
今回は生徒が取り組んだプログラムの様子をレポートします。

この記事のポイント

自分なりの見方を見つける

2023年4月直島で、岡山理科大学附属高等学校の3年生が作品鑑賞から自己と向き合う学びのプログラムに参加しました。

まずは、「自然・建築・アートの共生」をコンセプトとしたベネッセハウス ミュージアムで対話型鑑賞を行い、作品鑑賞の姿勢を身に付けます。
見方に一つの正解がない現代アートを前に生徒たちは自由に感じたこと、抱いた印象を話し合います。

スタッフの問いかけに応じながら「作品を観て、考え、話す」をくり返すことで、自分の意見の根拠がどこにあるのかを深く考えたり、他の人の意見に耳を傾けることで自分にはない新しい価値観を知ったりして、相対的に自分らしさに気付くきっかけにつなげていきます。

この導入のステップをとおして、生徒たちは誰かの正解を探すのではなく、自分の目で見て考え、自分だけの正解を導き出す力を自然と身に付けていました。

自分にとっての「よく生きる」を考える

集落の中で展開する「家プロジェクト」を自由に散策したあと、生徒たちはベネッセハウス ミュージアムの屋外作品が点在するエリアを舞台に鑑賞キットを使ったワークに取り組みました。

中学生以上を対象とした鑑賞キットには、気になったものを調べるツール、見つけたものを記録するツール、感じたことを好きなように表現するツールが含まれています。

鑑賞キットには「よく生きるとは?」とメッセージが印字された透明のカードも同封されており、風景や作品を背景に透かして見ることができます。
自然や集落と豊かに関わり合うアートや建築を鑑賞し体験する中で、これからの生き方や暮らし、自分にとって「よく生きる」とは何かを考えるきっかけを提供するツールです。

生徒たちは透明のカードを手に、自分にとっての「よく生きる」を表す背景を見つけて写真を撮影し、その背景を選んだ理由を添えて投稿するワークを行いました。
直観で背景を決める生徒もいれば、歩き回りながら納得のいく背景を探し続ける生徒、透明のカードの角度を微調整しながらこだわりのアングルを探す生徒など、取り組む姿勢もさまざまです。

最後に、投稿した写真とコメントを一人ずつ発表してもらいました。

作品の印象から自分の好きなことを連想し、自分が一番わくわくする瞬間を思い出したと話す生徒や、果てしなく続く空や海から無限に広がる未来の可能性に気付いたと話す生徒など、それぞれの関心事や大切にしている価値観などと結び付けながら、自分のこと、自分の未来のことを自由に思い描いていました。

生徒コメント「雑草魂の先になんでもできる未来があると思うから」

生徒コメント「友達と楽しく過ごすこと」

生徒コメント「人生の目標は見えるところが正解ではないかもしれない」

作品鑑賞から「自己」を見つめる

今回のプログラムの中で生徒たちは、解釈に一つの正解がない現代アートの鑑賞をとおして、自分なりの見方に気付き、言語化することで自己を見つめ、自分の未来を考えることができました。

進路選択をはじめ、これから生きていくうえで直面する、さまざまな問いに向き合っていかなければならない生徒たちにとって、自分の中に正解を導き出す体験は今後の自信をつくるだけでなく、グローバル化やテクノロジーの進化など、変化が激しく未来の予測ができないといわれる現代を生き抜くうえで求められる、「生きる力」を育むきっかけにもつながるでしょう。

プロフィール



「ベネッセアートサイト直島」は、直島、豊島、犬島などを舞台に、株式会社ベネッセホールディングスと公益財団法人 福武財団が展開しているアート活動の総称です。訪れてくださる方が、各島でのアート作品との出合い、日本の原風景ともいえる瀬戸内の風景や地域の人々との触れ合いを通して、ベネッセグループの企業理念である「ベネッセ=よく生きる」とは何かについて考えてくださることを願っています。
https://benesse-artsite.jp/

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