現役東大生作家・西岡さんに聞く「東大式マンガ勉強法」と、小学生におすすめマンガ5選
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マンガは勉強の対極にあるものだと思っていませんか? 実はそれは大きな勘違い。現役東大生作家で、最近「東大×マンガ」というマンガを使った勉強法を紹介した本を監修した西岡壱誠さんは「東大生はマンガを勉強にも生かしている」と話します。
一体、東大生たちはどんなマンガを選び、どのように勉強に生かしているのでしょうか? 保護者が気になる「東大式マンガ勉強法」について西岡壱誠さんにお伺いしました。
小学生向けにセレクトいただいたおすすめマンガも要チェックです!
教科書が楽しくなる?マンガが勉強に役立つ理由
「東大生はマンガを読んで勉強している」と言われても「またまた冗談でしょ?」と半信半疑なかたが多いかもしれません。でも、マンガは主に次の3点から勉強に役立てられるものなのです。
- 1. 難しい内容や抽象的概念をわかりやすく理解できる
- 2. 字面だけでは理解できない「空気感」がわかる
- 3. 感情に対する「想像力」が鍛えられる
この中で「難しい内容や抽象的概念をわかりやすく理解できる」は、保護者のかたもイメージしやすいでしょう。『はたらく細胞』で身体の機能や免疫システムがわかるといったものですね。
2点目の「空気感」、3点目の「想像力」については、勉強内容の理解の幅と深さに関わってきます。たとえば、ガリレオ・ガリレイが宗教裁判の法廷で発した「それでも地球は回っている」との言葉。これは、時代の空気感をとらえられているか否かで理解度が変わってきます。天動説が主流だった15世紀のヨーロッパで禁じられた地動説を研究する人々の生き様を描いたマンガ『チ。-地球の運動について-』を読んでいれば、その言葉がいかに重いものか実感を持って理解できるでしょう。
勉強は紙の上、机の上のものである限り無機質で面白くないものです。ただの情報の羅列で頭に入ってこない。でも、コネクティングドッツと言われるように、文脈や繋がりがわかると途端に興味深いものに変わります。そのためには、行間や背景を理解する想像力も必要。マンガを読むことは、多くの物語や感情の動きに触れること。それが想像力を豊かにしてくれるのです。
そう考えると、マンガは難しい内容をわかりやすく理解するだけでなく、勉強への嗅覚を磨いてくれるものといえるかもしれません。実際、東大生はマンガで磨かれた嗅覚で教科書を楽しんでいる人が多いですね。
マンガを勉強に生かすポイントは「あ〜楽しかった」で終わらないアウトプット
マンガが勉強に生きるといっても、ただ読むだけではその効果は望めません。「あ〜、楽しかった!」で終わらせないためには、感想や意見をアウトプットすることが一番です。実際、東大生って《アウトプットぐせ》がある人が多いんですよね。本の感想を伝えあう読書サークルもめちゃくちゃ多いです。
子どもにアウトプット習慣を身に付けてもらうには、無理強いすることは禁物。子どもたちのテンションもみるみる下がってしまいます。うまく習慣化させるためには、次のような点に注意してみてください。
親だけでなく友達同士で
マンガを読んだ感想は、友達と共有しあうのがおすすめです。親とでもいいですが、どうしても揉めがちですよね(笑)。友達同士でアウトプットの機会を持つと、自分の理解を言語化することに役立つだけでなく、友達の感想に触れて理解の幅を増やすこともできます。それにより、自分にはなかった視点を内面化することもできるでしょう。それだけ友達同士の相互作用は価値が高いものです。
周囲にアウトプットを共有しあえる友達がいないという場合は、兄弟姉妹に共有するのもいいでしょう。
時間がかかって当たり前!浅くて当たり前!安心できる環境を
アウトプットは、慣れるまでは難しく感じてしまうものです。ハードルは低く低く設定して、心理的安全性を確保してあげてください。
時間はかかって当たり前。急かさず待ってあげる姿勢を持ちましょう。
また、最初は浅い感想しか出なくて当然です。「え、それだけ?」と思うことも多いでしょう。でも、最初から合格点を求めていては、萎縮するようになってしまいます。たとえ浅いアウトプットでも、それを起点に引き出していってあげればいいんです。実際、東大生だってレポート作成など最初から合格点なんて目指していませんよ(笑)。まずは60点程度でも出してフィードバックを繰り返し受けて完成を目指します。
アウトプットが楽しくなる2つの工夫
アウトプットの質を高めていくには、アウトプットを楽しめるようにしてあげることです。保護者は次の2点を心がけてください。
1点目は「否定せず興味を持つ」こと。子どもは「え、そこ?」とびっくりするような細かい点にこだわっているケースもあるものです。壮大なストーリーには目もくれず、細部の食事のシーンにばかり注目しているとか(笑)。そんなときも、否定せずにお子さまの言うことに興味を示してください。「あの時代の食事について調べてみよう」と深掘りしてあげるのもいいですね。
2つ目は「プロブレムではなく、ベターを示してあげる」ということ。ダメな点を指摘するのではなく、「こうするともっといいよ」を示してあげましょう。「これについてはどうなんだろう?」と疑問をなげかけるのもいいですね。
興味を持たれればうれしい、もっとよくする方法がわかればトライしてみたくなる。この繰り返しで、お子さまは楽しみながらアウトプットの精度を高めていけるようになるはずです。
うちの子もマンガを勉強に生かせる?保護者のよくある疑問Q&A
「そんなにうまくマンガを勉強に生かせるの?」「東大生だからできたのでは?」そんなふうに感じられる保護者もいらっしゃるかもしれません。そこで、保護者のかたがよく抱く疑問にお答えします。
Q. 勉強にも役立つからとマンガをすすめても、まるで興味を示しません。
「いつか勉強に役立つから」とマンガをすすめられることは、「試合で勝つために必要だから」と走り込みをさせられるのと同じです。役に立つとはわかっていても、気分が乗らないのはしゃあないです。学齢が下であればなおさらでしょう。それに、マンガがいくら可能性の高いものであるとはいえ、万能ではないし全員にハマるわけではありません。
そんな場合のアプローチは2つ。1つ目は、マンガでなく映像をすすめてみることです。マンガとはいえ、文字ベースの情報が好きではない子どももいます。認知特性の問題です。たとえば『ミステリと言う勿れ』という作品。数学的思考に触れられるものですが、マンガでなくドラマから入るのだっていいでしょう。映像で理解したあとは、マンガもスムーズに読めるかもしれません。
2つ目は、「これって面白いでしょ?」って話を無限に聞かせて知的好奇心を刺激すること。「役に立つよ」より「面白いよ」のほうが心惹かれますよね。思い返せば、僕の親も五大湖の話とか、面白そうに話してくれていました。ハマる、ハマらないはありますが、「ねえねえ、これって面白いでしょ?」と興味のタネを蒔くのは大切です。
Q. 子どものアウトプットがいつまでも浅いまま。深めていくにはどうすればいい?
お子さまの意見を引き出していくには、質問を繰り返して掘り下げていくのが基本です。とはいえ、実は裏技もあります。それは「あえて的外れな感想を伝える」というもの。「悪役のあの人、めっちゃかっこいいよね。感動しちゃった」など、お子さまが思わず身を乗り出して反論したくなるようなことを言ってみてください。人間は、肯定する際より、否定するときのほうが言葉が多くなるもの。そこを利用して、お子さまの意見を引き出していけるはずです。
西岡さんセレクト!小学生におすすめマンガ5冊
マンガの有効性、読み方がわかっても、実際にどんなマンガをお子さまにすすめればいいかわからないという保護者もいらっしゃるでしょう。そこで、小学生におすすめのマンガを5冊ご紹介します。
『月刊少女野崎くん』(椿いづみ/スクウェア・エニックス)
amazonで見る人気少女漫画家の男子校生・野崎くんに恋した女子高生の話。出版業界や職業についての理解を深められます。勉強と関係なさそうなのに、関係ある展開も。
『ブッダ』(手塚治虫/潮出版社)
amazonで見る仏教の開祖の生涯を描いたベストセラー。多くの人が読んでいる作品は、触れられるアウトプットも多いため、学びが加速します。
まとめ & 実践 TIPS
マンガには、勉強の理解を深め、学びの幅を広げる可能性もあることに新鮮な驚きを感じたかたも多いのではないでしょうか。マンガで知識や想像力を鍛えることで、学習そのものもマンガのようにいきいきとしたリアリティを持って楽しめるようになるのかもしれませんね。今回ご紹介したおすすめマンガをお子さまと一緒に楽しんで、知的好奇心を刺激したり、アウトプットを共有しあってみてはいかがでしょうか。
\西岡壱誠さん監修『東大×マンガ』にも注目!/
『東大×マンガ』(東大カルぺ・ディエム著/内外出版社)
監修:西岡壱誠
本体:1,500円+税
現役東大生が選んだ勉強になるマンガ55冊を一挙紹介!
東大生たちのおすすめの読み方や、勉強への生かし方のポイントもわかるから、楽しみながら知識を豊かにしていけます。マンガを味方につければ、勉強への向き合い方も変わるかも!?
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