個性豊かな「読書感想文」が書けるようになるテクニック!ポイントは「選ぶ」・「読む」・「書く」の3つ

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夏休みの宿題の定番、読書感想文。時間や気持ちに余裕のある長期の休み中にこそ、じっくり取り組んでほしい課題です。しかしながら、お子さま本人に苦手意識があるなどで、読書感想文への取り組み方に悩まれているご家庭も少なくないのではないでしょうか。
今回は、いくつかの工夫を取り入れて、「読書感想文」へのハードルを下げ、お子さまがより自分らしい文章を書けるようになる「コツ」をご紹介します。

この記事のポイント

「これだ!」という一冊を自分で「選ぶ」

読書感想文を書く上で最も大切なスタート地点、それが本を読むことに対するモチベーションです。一冊をじっくり読み込むためにも、お子さま本人が興味を持てる内容で、さらにその本の内容や感想を「誰かに伝えたい」と思えるものがよいでしょう。
次のようなポイントもヒントに、「これだ!」という一冊を、お子さまが自分で考え、選ぶようにしてみてください。

1.登場人物に共感できる

例えば、主人公が自分の好きなスポーツをしているなど、登場人物に自分との共通点があると、親近感を持ちながら読み進めることができます。また登場人物に自分と似たところがあると、逆に自分と違っているのはどんなところかを考えるきっかけにもなります。

2.一冊をきちんと読み切れるイメージが持てる

張り切って分厚い本を選んだけれど、途中で読むのが嫌になってしまった…、なんてことにならないよう、字数やページ数は、無理のないものを選ぶことがポイントです。
図書館や書店では学齢にあわせて本を紹介していることもありますので、選ぶ際に参考にするとよいでしょう。何度か読み返すことも想定し、このボリュームなら読めそうだという見通しが立つ本を選んで、初めのハードルを高くしすぎないことが大切です。

  • ・登場人物に共感できる本を選ぶ。
  • ・読み切れるボリュームの本を選ぶ。

メモで思考を言語化しながら「読む」

本を読む際は、読みながらメモを作ることをおすすめします。メモがあると、自分の気づきや思考を言語化して、整理することができるからです。いくつかのメモを見比べて、物語の流れや見せ場を押さえる手がかりとして使うこともできます。
次のような点などに着目し、いろんな視点からメモを作らせてみましょう。

・登場人物の気持ちや行動と、人物同士の関係

 登場人物の様子や、それぞれの関係性を把握できると、物語の流れがとらえやすくなります。
(例)試合に向けてがんばる主人公の様子と、そんな主人公の姿に影響されて奮い立つチームメイト

・物語中の事件や出来事

 その後の物語が大きく展開するきっかけになっている場合があります。どんな出来事だったかに加え、その出来事が起こるまでの流れも整理しておきましょう。
(例)親友とけんかをしてしまったときの、けんかの理由とその内容

・時間/場所など環境の変化

 過去を振り返っている、違う場所に場面が変わっているなどの部分は、物語を別の側面から見ることができるポイントです。
(例)祖母が話してくれた自分の子ども時代の話

  • ・読みながらメモを作る。

書きたいテーマを1つに定めて、自分らしい表現で「書く」

書きたいことはイメージできているのに、その内容をうまく一連の文章としてまとめる方法がわからない…。このように、いざ原稿用紙に向き合ったところでつまずいてしまうお子さまも多いのではないでしょうか。もし、お子さまが文章をどう書けばよいかわからなくなっているようなら、次の3つの手順に沿って、書き進めさせてみてください。

1.書きたいテーマを1つにしぼってから、文章の構成を決める

まず初めに、自分が書きたいこと、つまり文章のテーマを1つにしぼるようアドバイスしてみてください。内容をいくつも盛り込むと、話題がころころと変わり、文章の構成を考えるのが難しくなるためです。
次のような流れに沿って、文章をまとめていくとよいでしょう。

①メモを振り返って、何度もメモに登場した内容や、最も自分の心に残ったことなど、一番伝えたいテーマを決める。
②テーマがよく読み取れる場面のあらすじや内容、自分がどんな感想を持ったかなど、説明するための材料を集める
③集まった材料をもとに、自分らしい視点を盛り込んでいろんな角度から説明してみる

①のテーマと、それを説明する②の材料が決まったら、文章の骨組みは完成です。あとは、③の自分らしい視点で文章をふくらませ、肉付けをしていくイメージです。自分に置き換えて考えてみたり、他の場面との違いを振り返ったりするなど、お子さまの自分なりの見方を自由に盛り込んで、文章を固めていくとよいでしょう。

2.文章の書き出しを工夫する

文章の書き出し部分は、書き手の腕の見せ所です。次の例をヒントに、ぜひ読み手を惹きつけるような書き出しを考えさせてみてください。

(例)この本を読もうと思った理由を説明する
この本を読もうと思ったきっかけを初めに伝えることで、自分と同じ目線で文章を読んでもらうことができます。

(例)作中の気に入ったセリフを紹介する
登場人物のキャラクターを象徴するものなど、気に入ったセリフがあれば、ぜひ理由とともに紹介しましょう。一行目をセリフから始める書き方も、インパクトがあります。

3.文章を見直して、読みやすく修正する

おおまかに書き進めたら、より魅力的な文章になるよう、ぜひ細かい表現にも工夫をさせてみてください。例えば、「…は楽しかった。…も楽しかった。」というように、似た言い回しを繰り返し使っている場合は、「…は不思議で驚いた。」と違う表現で言い換えたり、「…は▲▲というセリフが面白かった。」と具体的な内容を足したりするとよいでしょう。言葉の一つ一つに変化をつけることで、書き手の個性を表現できますし、また文章全体にもメリハリが出て読みやすくなります。

そして、書き終わったら必ず文章を推敲させましょう。原稿用紙の使い方に沿って書けているか、誤字脱字がないかなど、改めて見直しをすることで、書いているときには見落としていた文章のほころびに気づくことができます。

  • ・書きたいテーマを1つ決める。
  • ・文章の書き出しを工夫する。
  • ・最後に、読みやすくなるよう手直しする。

まとめ & 実践 TIPS

本を読んで、その内容を誰かに伝えたいという気持ちになること。そして、その気持ちを自分らしい個性豊かな表現で文章にすること。お子さまが、この楽しさを経験できるということこそが、読書感想文の醍醐味です。
ここまでご紹介してきた、本を「選ぶ」「読む」際のコツ、そして読書感想文を「書く」ときの手順やテクニックが、保護者のかたからお子さまにアドバイスされる際の参考となればと思います。そして、「読書感想文」という学習体験が、お子さまの興味関心を大きく広げ、本を読むこと、言葉で表現することの喜びを味わうきっかけとなることを祈っています。

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株式会社プランディット 国語課 中里(なかさと)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの国語の教材編集を担当。

プロフィール



1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

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