話題の育児マンガ『どんなときでも味方だよって伝えたい!』著者、さざなみさんが見つけた子どもへの寄り添い方とは

勉強する子どもの見守り方や、親の気持ちの伝え方。
迷うことはないですか?

忙しい日々、すぐに通り過ぎてしまうような瞬間にも、気持ちを伝えるヒントがあると思い出させてくれる育児漫画が人気です。書籍『「どんなときでも味方だよ」って伝えたい! 親子のコミュニケーション、試行錯誤中!』を発売、2人姉妹の子育て中でもあるさざなみさんに、オリジナル「ほめルール」などハッとする視点を伺いました

この記事のポイント

夫婦でちがうからいい。子どもの勉強の見守り方

先日Twitterで話題になった、さざなみさんの漫画「たし算41+1=?」。

ある日、「あいうえお」を書く練習をしていた未就学児の長女。間違いに気づいた母親が指摘すると、泣き出してしまいました。うまく書けたあいうえお表を見つけて飾ろうとしても、「ダメ!」と怒られてしまいます。母親は「自分は彼女の勉強に関わらないほうがいいのかな……」と考えます。一方…

父親にたし算を教えてもらうことには積極的な長女。よく見ると、父親は間違った解答にも「分かってきたね」と認め、否定しません。テストではないので正解よりも、解き方の理解度を観察しているそう。どんなところで間違えやすい(この場合はゾロ目問題)かも、チェックしている…!

この投稿は、「目からウロコ」「自分だったらどうするだろう?」とSNS上で大きな反響を呼びました。「間違いを指摘しない」という方法だけでなく、父親と母親がそれぞれの視点から子どもをサポートする気持ちが伝わる作品です。   

親に言われるより、「楽しいから勉強する」のほうが強い

──その後、長女さんの勉強の様子はいかがですか?

さざなみ 長女はあれからも、数字が大好きで楽しそうにたし算に取り組んでいます。次に習う「もっとむずかしいこと」を楽しみだと語っている姿を見ると、本当にその変わりように驚きます。夫の「むずかしいことはおもしろい」という姿勢に憧れているようなので、そのまま進んで欲しいなと思っています。

算数が好きになった長女。だけど、夫も私もその方面について特に大きな期待はしていません。食べ物の好みのような、一過性のブームのように捉えています。ほめすぎないようにしよう、と夫婦で話し合いました。

娘は、特に私に対して、ほめてもらいたいという気持ちが大きいです。「親が喜ぶから勉強する」という動機は、「楽しいから勉強する」に比べると弱いと私は考えています。夫も私も、親に言われることもなく勉強をする子どもでした。親から「勉強しなさい」と言われた覚えがありません。ですが、私たちは大人になってもそれぞれの興味分野を深め、研究することを続けています。好きだから、という動機の強さを信じる所以です。

──たし算の問題で、父親が「ゾロ目はバグる」ことに気づくのは、よく観察しているからですよね。勉強への寄り添い方でこんな風にしていきたいとか、逆に心配なことはありますか?

さざなみ プログラミングの得意な夫の指導の仕方は、まさにバグ探しです。質問を投げかけて、分かっているポイント、分かっていないポイントを探していきます。ミスが出ても、その関連の質問にさっとすり替えて、ミスが再現されるか観察しているのです。効率的で、長女も楽しそうです。

これから幼稚園の年長になる長女。小学校を前にして、ますます勉強っぽいアクティビティが増えてくると思われます。できるだけ、楽しく取り組んでもらえるように手助けしていきたいと思っています。たとえば最近、私と長女は一緒に絵本を描いています。お話を考えるのが楽しいらしく、こちらが驚くほど長い文章を書いてくれます。カタカナも「使いたい!」と覚えました。誰かに読んでもらうなら、綺麗な字を書かなきゃと言って以前よりワークブックを丁寧に取り組むようになりました。

だけどこれから先、どうしても「できない」時が出てくるでしょう。それは「できる」までの一段階に過ぎないのだということを本人が心の底から納得してくれるだろうか……が不安です。できなくて悔しい気持ちを、自分を燃やす力に変換するには、それなりの思考の仕組みが必要だと思います。挑戦する思考を持てるようなマインドセットを伝えていきたいと考えています。

ほめルールは「具体的にほめる」「過程をほめる」「素質をほめる」の3つ

(『「どんなときでも味方だよ」って伝えたい! 親子のコミュニケーション、試行錯誤中!』より)

──書籍『「どんなときでも味方だよ」って伝えたい! 親子のコミュニケーション、試行錯誤中!』では、長女さんに「上手だね!」と声がけすると泣かれてしまうエピソードが登場しますね。親としてはほめてあげたくなるところですが……。

さざなみ 「上手」という声掛けは、単なる褒め言葉として使っていたものです。「上手」が長女にとって地雷ワードだと気づいた時は私も驚きました。長女は塗り絵をするときも、見本の通りの色を選び、線からはみ出ないようゆっくり。シールもぴったりの位置に貼りたいようで、とても慎重に位置を確認しながらでした。それが、彼女にとって美しい完成形だったのです。

はっきりとした完成イメージを持ち、その通りに実現したいと願うこと自体は、素敵だなと思っています。ですが、それに届かない状態やトライアル&エラー部分を全て「失敗」ととらえてしまっては苦しいものです。

──ざっくりとほめるのではなく、「具体的にほめる」「過程をほめる」「素質をほめる」のほめルールを見つけられたのはなぜですか?

さざなみ 「上手」以外の声掛けはどんなものがあるだろう?と考えていた頃、海外の幼稚園教師のInstagramで、「生徒一人一人にポジティブな言葉かけ」をするトピックを見かけました。英語と日本語という差はありますが、例として出されていた言葉たちはまさに私の求めていたものでした。

単に「いいね!」ではなく、「独創的だね」「アイデアマンだね」「仕上げまで丁寧だね」と具体的にほめているところ。また、「あなたは私をいつも驚かせてくれる」「あなたのおかげで助かったわ」「あなたのアイデアはみんなに刺激を与えてくれた」と本人が周りに与える影響について感謝を伝えているところなど、とても素敵だと感じました。本当にその子だけに向けたオリジナルのほめ言葉だと感じられたのです。

そういったポジティブで具体的な言葉を私も娘に贈りたいと考えて、当時2歳だった長女の気持ちに届くよう、オリジナルのほめルールを考えました。

本人もはっきりしていない気持ち。決めつけないように

(『「どんなときでも味方だよ」って伝えたい! 親子のコミュニケーション、試行錯誤中!』より)

──お子さんの個性を見つめたことで生まれたほめルールなんですね。意識すると、子どもへの声のかけ方が変わりそうです。漫画に描くうえで気を付けていることはありますか?

さざなみ 子どもの表情や仕草から内心を想像しようとするのは、多くの親御さんが自然としておられることだと思います。私も、娘の反応を見ながら何を思っているか想像したり、言葉を選んで伝えたりしていますが……、そこで想像した娘の気持ちを決めつけないように気をつけています。

漫画に描くときには、一つのエピソードとして分かりやすくするために多少の脚色を加えます。そうした中でも、私が推測した長女の気持ちを想像して描いている体裁を崩さないようにし、断定は避けています。

多くの場合、幼い子どもは自分の気持ちや状態をはっきりと把握していないようです。あこがれや羨望の感情をおしなべて「ずるい」と表現してしまうような単純さをよく感じます。複雑な感情を抱き、それを自分で理解して言葉にするには、まだまだ経験も語彙も足りないのだと思われます。

子どもは自分とはちがう個性を持った人間

──今後はどのようにお子さんの成長に寄り添っていきたいですか?

さざなみ 長女は現在4歳。まだまだ、私が彼女の気持ちを推測して言い換えて、合っているか確認する場面が日常の中で多くあります。だけど成長していけば、きっと自分でそれができるようになるでしょう。私は他の大人に対するのと同じように、彼女が表現する範囲でそれを受け取り、付き合っていくことになるかと思います。

次女は2歳で、長女に通用した手が次女には全く通じないなんてことだらけ。そんななかでも、ふと姉妹に共通する味の好みや色へのこだわりなどに気づくと、ほっこり心が温まります。

我が子とはいえ、自分とはちがう、それぞれの個性を持つ人間であることを常に忘れないように、敬意を持って接しています。

──SNSや書籍の発売で、多くの人に漫画が読まれるようになりました。今の思いを教えてください。

さざなみ 私が漫画に描いたことは、私が育児をしながらぼんやり抱いてきたさまざまな考えです。決して斬新だったり特別だったりするわけではなく、誰もが一度は考えたり胸に抱いたことのある思いなのだと思います。言語化し、受け取りやすい漫画という形になったことで、より多くの人に届けることができました。読んだ後、優しい気持ちになってもらえたら嬉しいです。

(『「どんなときでも味方だよ」って伝えたい! 親子のコミュニケーション、試行錯誤中!』より)

育児記録の隅にちょっとしたイラストを描くことからはじめ、漫画の形にすることで育児の悩みも夫婦で共有できるようになったというさざなみさん。「共感はされないだろうな……」という予想を裏切り、多くの人から「育児が楽しみになった」と感想が寄せられています。

子どもはそれぞれちがう個性を持ち、考えていることもちがうはず。「分からない」とあきらめてしまわず、まずはじっくり見つめる寄り添い方もあるのではないでしょうか。

『「どんなときでも味方だよ」って伝えたい! 親子のコミュニケーション、試行錯誤中!』(さざなみ:著/KADOKAWA)

TwitterとInstagramのフォロワー8.5万人。SNSで話題を呼んだ、もの思うママ・さざなみの等身大育児漫画。「ほめられると泣く子」「親子で人見知りを克服した話」など、子育てで多くの人がぶつかるエピソード満載。子どものちょっとした個性も見過ごさず、じっくり寄り添いたくなるコミックエッセイです。新規2話の描き下ろしも収録。

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プロフィール

さざなみ

4歳と2歳のくせっ毛姉妹を育てる漫画家・イラストレーター。SNSに投稿した育児エッセイ漫画は累計fav30万以上。Webメディアのほか、Twitter、Instgaramにて更新中。

Twitter https://twitter.com/3MshXcteuuT241U
Instagram https://www.instagram.com/sizuqphi/

プロフィール

樋口かおる

ライター&グラフィックデザイナー&編集者&駄菓子屋さん&落語会主宰。早稲田大学商学部卒。DIYが好きでおもちゃから家具までなんでも手作りします。プログラミングとゲーム制作は息子と勉強中。

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