子どもに読書習慣をつけるには

国語だけでなく、他の教科でも求められる文章の「読解力」。これを伸ばす方法の一つに、読書が挙げられます。
中学生や高校生の「読書離れ」は続いていますが、家族や先生が本を紹介したり、生活時間にゆとりができたりすると、子どもたちは「読んでみたい」と思うようです。

「月に0冊」高校生で5割

公益社団法人 全国学校図書館協議会が全国の小中高校生を対象に実施している「学校読書調査」の第64回報告によると、「1か月に読んだ本の数」は小学生で平均9.8冊、中学生4.3冊、高校生1.3冊となっています。また、一冊も本を読まない「不読率」は小学生で8.1%、中学生で15.3%、高校生で55.8%となっており、高校生以降に極端に読書量が減少しています。
「どんなときに本を読みたくなるか」の質問には、小学生から高校生まで、すべての学年を通して「ひまな時間ができたとき」が約6割と、「何かを知りたいとき」(小学生男子13.2%)や「楽しみたいとき」(高校生女子21.4%)を大きく引き離しました。子ども自身の必要性というより、時間のゆとりのある時に本に向かいたくなる気持ちになることがわかります。

周囲の大人の働きかけが重要

「最近、家の人に本を紹介された経験」と「1か月に読んだ本の冊数」との関連を見てみます。小学生では、「よく紹介される」と答えた子どもの約5割が「10冊以上読む」と答えているのに対し、「まったく紹介されたことがない」と答えた子どもで「10冊以上読む」のは24%となっています。
中学生では、家の人に本を「よく紹介される」生徒で、月に10冊以上読むのは18.5%、「まったく紹介されたことがない」場合、月に10冊以上読む生徒は9%となっています。家の人からの紹介の影響も大きいことを示しています。

学校ではどうでしょうか。先生から紹介された本を「ぜひ読んでみたい」と「読んでみたい」を合わせた割合は、小学生男子で53.7%、小学生女子で65.4%、中学生男子32.6%、中学生女子で45.6%となりました。
子どもの読書離れが深刻化した20年ほど前と比べれば、小学生・中学生の読書冊数は増えています。▽学校図書館で司書の役割を担う「学校司書」の配置が進んだ▽学校図書館の運営を担当する「司書教諭」が増えた▽「調べ学習」などで学校図書を活用する機会が増えた▽「朝の読書活動」「読み聞かせ」などが広まった……などの効果が現れたのでしょう。
心配なのは、学校図書の購入費が減少していることです。同調査によれば、小中高の1校あたりの平均図書購入費は減額となっています。
新学習指導要領への対応でさまざまな経費が掛かるとはいえ、図書の充実が図られなければ、「読んでみたい」と思う気持ちも萎えてしまいます。

近頃は町の本屋さんが減り、子どもたちが自分で「本に出会う」機会は減っています。本を読む習慣をつけるには、学校図書館や公共図書館、周囲の大人の働きかけがいっそう重要になってきそうです。

(筆者:長尾康子)

※公益社団法人全国学校図書館協議会「第64回学校読書調査」の結果
http://www.j-sla.or.jp/material/research/64dokusyotyousa.html

※公益社団法人全国学校図書館協議会「2018年度学校図書館調査」の結果
http://www.j-sla.or.jp/material/research/2018gakutotyousa.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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