めざせノーベル賞! 科学的な興味や思考を育てるオススメの図鑑5選
日本人のノーベル賞受賞が相次ぎ、改めて“理系”が注目されています。小学生の時期に科学的な関心や思考を育むのにぴったりなのが「図鑑」だと、児童文学評論家の赤木かん子さんは言います。赤木さんに科学の世界への入り口として、おすすめの図鑑を推薦していただきました。
小さなお子さまほど、大人向けの本格的な図鑑が大好き!
ふだん、お子さまには大人向けの図鑑を買い与えようとは思われないかもしれません。ところが、公共図書館に本格的な図鑑を置くと、実は小学生や園児がたくさん借りていきます。小学校の図書館に置くと、低学年のお子さまほど夢中になります。
なぜでしょうか。子どもは、大人が考えている以上に論理的で本質的です。図鑑のように物事の本質がギュッと凝縮された本を好むのでしょう。そして子どもは、古い写真より、新しいビジュアルに惹かれます。こうしたことを考えると、お子さまには、大人向け・子ども向けという区分けはあまり気にせず、基本コンセプトがしっかりした新しく美しい本がよいということになるでしょう。
今回ご紹介する図鑑の中には、あえて1万円を超える高価なものも入れています。書店や図書館などでお手に取ってみれば、それだけの値打ちがあることに気づくはずです。誕生日などのプレゼントに贈れば、一生の宝物になるかもしれません。
『地球動物図鑑』(新樹社)
監修/フレッド・クック
1万円(税別)
動物図鑑には優れたものがいくつもありますが、これは特におすすめの一冊。インパクトのあるカメレオンの表紙が目印です。美しい写真とともに、動物の進化や分類、生態、行動、生息場所などがわかりやすく解説されています。デザインや本の厚み、書体など、すべてが読み手をワクワクとさせてくれるセンスのよさです。おすすめした保護者のかたから、「高いと思ったけど、買ってあげてよかった」「子どもが毎日見ている」と言っていただいたことがあります。
『元素図鑑 宇宙は92この元素でできている』(主婦の友社)
著/エイドリアン・ディングル、監修/若林文高
1,800円(税別)
宇宙全体に存在するものすべては、92の元素からできている! 人間、花火、高層ビル、星、ハンバーガー……さまざまなものがどのようにできあがったのか、元素の性質を説明しながら、それぞれ見開きで解説してくれます。分量はそれほど多くありませんが、宇宙や地球の成り立ちを見事に説明してくれる一冊です。デザインもとてもすてきです。
『深海世界』(パイインターナショナル)
編集協力/新江ノ島水族館
1,400円(税別)
子どもも大人も、思わず「ほ?っ!」と声を上げてしまうほど美しい深海の生き物の写真集です。魚やクラゲなど約120点が収録されています。漆黒をバックに透き通った赤いクラゲなどは目を見張るほどの美しさ。深海とは水深200メートルからをいいますが、そんなに深いところでこれほどきれいな写真が撮れることにも驚きです。
『地球博物学大図鑑』(東京書籍)
監修/スミソニアン協会
9,500円(税別)
アメリカのスミソニアン博物館の100周年記念で制作された図鑑。浮き彫りの表紙が期待感をあおります。鉱物、岩石、化石から、微生物、菌類、植物、動物にいたる5,154種が写真やイラストとともに解説されてあり、地球の生物多様性を実感できます。たくさんのデータが凝縮されているのに見やすいのは、デザインの力でしょう。生物好きのお子さまにぜひ見せてあげてください。図書館でも、この本を借りるのは小学1年生くらいのお子さまが多いです。
『世界大博物図鑑 魚類(新装版)』(平凡社)
著/荒俣宏
1万9,500円(税別)
このシリーズは図版がすばらしいの一言です。「魚類」には、よく見かける魚から目撃例が一度しかない深海魚まで、魚の自然誌がもれなく収められています。解説もわかりやすくて魅力的。確かに高い本ですが、お値段以上の値打ちがあり、図書館では子どもたちが一心に見入る姿をよく見かけます。シリーズには「鳥類」「蟲類」「両生・爬虫類」「哺乳類」などがあります。