学校では今 【第24回】友だちをつくるために必要なこと-小泉和義-

子どもたちにとって学校は、勉強をする場所でもありますが、同時に、「友だちをつくり、友だちと過ごす場所」でもあります。今回は特に思春期を迎える小学校高学年の子どもたちの、「自立と友だち」についてお話をしたいと思います。



小学校高学年の人間関係

小学校中学年から高学年にかけて、子どもは身体的にも精神的にも大きく変化をしていく時期です(いわゆる「第二次成長期」です)。精神的な面でいうと、たとえば自分が周囲からどう見られているのかを、とても気にするようになります。子どもにとって「友だち」は、一緒に遊んで楽しい存在というだけではなく、「友だちがいる」という事実が、周囲からも認められる必要条件と考えたりするようになります。また、人間関係を保つために、いつでも仲間と一緒にいないと安心できなかったりするのも、小学校高学年以降に見られる特徴のひとつです。

ベネッセ教育総合研究所の調査によると、友だちからどう見られているか気になるという割合は、小学5、6年生で、実に6割も存在します(「第2回 放課後の生活時間調査(2013<平成25>年)」)。小学校高学年は、友だちと良好な関係を保つために、子どもなりに悩み始める時期なのです。こうした友だちに関する悩みの中身は、今も昔も大きな違いはないと思いますが、今は、SNSなどで友だちといつでもつながっていることが可能になったため、人間関係を保持するためのプラスの面もある一方で、マイナス面も大きくなっていると思います。



「一人でも大丈夫」な強い自分をつくる

小学校高学年は、周りの目が気になり始める時期だからこそ、大切なのは、自分に自信を持つことだと考えます。自分に自信があれば、周囲の目をあまり気にせず、自分にとって大事なことを、勇気を持って実行することができるからです。

ある小学校の先生はこんなことをおっしゃっていました。
「休み時間に友だちと一緒にトイレに行こうとする子がたくさんいます。何をするにも仲間と一緒。これでは子どもの自立を妨げてしまうのではないかと思い、できるだけ、自分一人で行動するように促しています。一人で行動したり、一人でいても大丈夫な強い自分をつくったりすることが、この時期には必要だと考えています」

仲間が必要なこの時期だからこそ、一人でいても大丈夫な自分をつくるというこの先生の指摘は、とても説得力があります。一人でいても大丈夫な自分になるためには、自分に自信を持つことが不可欠です。以前の記事でもご紹介しましたが、ご家庭の中で子ども自身が「決める」場面をつくったり、結果をほめるだけでなく、結果に至る過程をほめてあげたりすることで、子どもは少しずつ自分に自信を持つようになっていくと思います。

一緒に楽しく遊ぶだけではなく、悩みを相談したり、逆に相談にのってあげたりすることのできる友だちの存在は貴重です。強い自分をつくることで、本当に「友だち」といえる関係をつくることができるのかもしれません。お子さんは、ひょっとしたら一生涯続くかもしれない真の友だちとめぐりあうかもしれませんね。

プロフィール


小泉和義

ベネッセ教育総合研究所 主任研究員。全国の小学校、中学校、高等学校などの現場を取材し、子どもたちの実態や学校での指導課題を踏まえ、「今」と「これから」の教育に必要なことは何かを発信し続けている。

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