減り続ける子ども1人当たりの学校教育費、学ぶ環境にどう影響?

減り続ける子ども1人当たりの学校教育費、学ぶ環境にどう影響?文部科学省の「地方教育費調査」(中間報告)で、2013(平成25)年度に都道府県や市町村が学校教育のために支出した地方教育費が、4年連続で減少したことがわかった。東日本大震災の復興財源ねん出のため、教員などの給与が引き下げられた影響とされるが、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏は「教育予算にはもっと大きな課題がある」と指摘する。ベネッセ教育情報サイトが詳しく聞いた。

 

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2013(同25)年度の地方教育費は約15兆6,732億円。このうち、公立学校(大学・短大を除く)のために地方自治体が支出した学校教育費は、前年度比1.6%減の13兆1,569億円で、4年連続で減少しています。大きく減っているのは、公立学校教員の給与などの人件費で、文科省は、東日本大震災の復興財源に充てるため「地方公務員の給与が削減されたことが影響している」と説明しています。

 

少子化が進行する中、教育予算削減は当然との見方もあります。しかし、学校教育費を児童生徒数で割った「子ども1人当たりの学校教育費」を見ると、別の問題が見えてきます。自治体が支出した子ども1人当たりの学校教育費は、小学校はピークの2002(同14)年度が92万4,000円に対し、2013(同25)年度は91万2,000円。中学校はピークの2010(同22)年度が107万3,000円に対し、104万3,000円、高校(全日制課程)はピークの2007(同19)年度が119万1,000円に対して109万9,000円となっています。中学校は減少傾向を示しつつあり、高校ははっきりと減少。小学校は横ばい傾向ですが、ピーク時と比較すると1万2,000円減っています。

 

これらのことから、地方自治体の学校教育費の減少は、一時的な教員給与の引き下げだけが原因ではなく、自治体の子ども1人当たりにかける学校教育費自体も減っていることが大きな理由であると言えそうです。少子化の進行などで教育予算をめぐる世論は厳しくなっていますが、子ども1人当たりの学校教育費の減少は、教育環境の悪化につながることを忘れてはいけないでしょう。

 

出典:地方の教育予算が4年連続減 子ども一人当たりの学校教育費も -ベネッセ教育情報サイト

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