学校外教育活動費は、どのくらいかかるもの?
保護者側の考え方でかけ方が変わるのが「学校外教育活動費」。学校外教育活動費は、保護者側の裁量が利くお金だけに、「どのくらいまでなら、かけていいものなの?」と悩むかたも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、学校外教育活動費の調査を参考にしながら、家計費とのバランスを考えてみたいと思います。
学校外教育活動費は「中学生時代の負担」が多い
取り上げるデータは、2013(平成25)年の「学校外教育活動に関する調査2013--幼児から高校生のいる家庭を対象に--」(ベネッセ教育総合研究所)です。
まずは、ひと月にかかる学校外教育活動費を、就学先別にご紹介していきましょう。カッコ内の金額は、ひとつ前の2009(平成21)年の調査です。
●就学先別の学校外教育活動費
幼児 | ⇒ | 6,700円 (7,200円) |
小学生 | ⇒ | 1万6,200円(1万7,900円) |
中学生 | ⇒ | 2万2,300円(2万5,100円) |
高校生 | ⇒ | 1万7,200円(1万9,400円) |
全体をとおした平均額は、ひと月1万5,000円(前回調査では1万6,700円)になっています。
データを見ると、中学生時代の負担が重くなっていることがわかります。また、いずれの年代でも、前回調査(2009<平成21>年)に比べて全体的に金額が減っています。0歳からの幼児教室通いなど、習い事の早期化も目立ってはいるものの、保護者側のお財布事情は厳しく、裁量が利くお金である学校外教育活動費を押し下げているのが現実なのだと思います。
次は、世帯年収の違いが、学校外教育活動費のかけ方にどのくらいの差を生んでいるのかをご紹介します。
●世帯年収別の学校外教育活動費
世帯年収400万円未満 | ⇒ | 8,500円 (8,700円) |
世帯年収400~800万円未満 | ⇒ | 1万4,100円(1万4,700円) |
世帯年収800万円以上 | ⇒ | 2万5,600円(2万6,700円) |
年収が高くなるほど、学校外教育活動費が高くなるのは、自然な現象です。年収が400万円未満のご家庭で、学校外教育活動費が1万円以内というのは、適正な負担額といえますし、年収が800万円を超えると、月に2万円台の負担をしているご家庭は実際にも多くなっています。
月収に占める子ども費は10%程度が適正
ここからは、ファイナンシャル・プランナーの視点で、家計に占める子ども費の適正な割合をご紹介していきます。
お子さまが小学生までのご家庭に対して、子ども費の割合は「手取り月収の10%程度が適正」だとアドバイスをしています。この10%の中には、学校にかかるお金と学校外教育活動費を含めます。中学生以上になると、10%で収まらない家庭が増えていきますが、小学生時代までは10%程度に抑えるのが理想です。
子ども費を10%程度に抑えたい理由は、お子さまが小学生くらいまでは、手取り月収に対して、10%程度の貯蓄をしておきたいからです。学校に支払うお金は仕方がないとして、学校外教育活動費の負担が重いと、小学生時代に10%の貯蓄をするのが難しくなります。
月謝(保育料)の負担が高めの幼稚園時代は、習い事代などを含めた子ども費の割合が手取り月収の15~20%を占め、幼稚園時代に貯蓄がまったくできないご家庭もありますが、幼稚園時代に貯蓄ができないのは問題あり。幼稚園時代には学校外教育活動費を抑えてでも貯蓄を増やしておかないと、その後、貯蓄を増やせるチャンスは、塾通いが始まる前、具体的には小学3年生くらいまでの短い期間しか残らないからです。
中学生以降は生活コストの上昇にも注意
お子さまが中学生になったころから、「貯蓄がほとんどできなくなった」という家庭が増えていきます。学校外教育活動費に加えて、お子さまが保護者とは別行動を取る機会が増え、被服費などもお下がりが通用しづらくなります。生活費についても、友達とファーストフードで食事をするなど、1人の消費者としてお金を使う機会が増えていきます。
データを見ると、中学生時代が学校外教育活動費の負担が最も高くなっています。生活コストが押し上げられるなかで、2万円を超える学校外教育活動費の負担をしていると、貯蓄に向ける金額が減ってしまうご家庭も少なくないでしょう。さらに、高校以降になると、学校や塾に支払う費用が増えていくので、ますます貯蓄がしづらくなります。
冒頭にも述べたとおり、学校外教育活動費は保護者側の裁量が利くお金ですので、貯蓄が思うようにできないと思ったら、将来の教育費を準備するためにも、多少はがまんする必要もありそうですね。