子育て家庭への支援が急務 「苦しい」世帯が約7割も

育児費や教育費など、子どもを持つ家庭には経済的な負担が重くのしかかってきます。厚生労働省がまとめた2014(平成26)年「国民生活基礎調査」によると、子どもを持つ世帯の約7割が経済的に「生活が苦しい」と訴えていることがわかりました。一方、少子高齢化や晩婚化・未婚化などにより、子どものいない家庭も増えています。子どもを持つ世帯をめぐる状況は、現在どうなっているのでしょうか。

子育て家庭への支援が急務 「苦しい」世帯が約7割も


調査は、昨年6~7月に全国から世帯を無作為抽出して実施し、約4万6,800世帯から回答を得ました。まず、世帯の生活意識を見ると、生活が「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」の合計)を感じているのは、全体の62.4%に上っています。生活が苦しいという世帯は2004(平成16)年度が55.8%でしたから、この10年間で、国民の生活が悪化していることがうかがえます。
さらに注目されるのは、18歳未満の子どもを持つ「児童のいる世帯」に限って見ると、生活が苦しいと回答した世帯の割合が67.4%と、約7割にも達していることです。子どもを持つ世帯の平均所得は、全世帯の平均所得を上回っています。しかし、子どもの教育費負担などが大きくて、いくら働いても家計が楽にならないというのが、現在の子どもを持つ世帯の実情といえそうです。

少子化にはさまざまな原因がありますが、教育費などの負担が大きいため、子どもを持つことにためらいがあるということも理由の一つであることは間違いないでしょう。このため、子どもを持つ世帯に対する保育支援や、教育費の負担軽減が社会全体の課題といえます。

ただ、子どもを持つ世帯をめぐる状況も変化しているようです。同調査によると、世帯全体に占める65歳以上の「高齢者世帯」は24.2%、これに対して「児童のいる世帯」は22.6%で、初めて高齢者世帯の割合が子どもを持つ世帯を超えました。また「児童のいる世帯」の子どもの人数は平均1.69人で、過去最低を更新しました。このほか、「児童のいる世帯」の世帯構成を見ると、「夫婦と未婚の子のみ」が71.6%、「ひとり親と未婚の子のみ」が7.4%で、合計すると79.0%となり、約8割が親と子どもだけの核家族ということになります。祖父母など周囲からの支援もなく、子育てに悩んでいる親が多いことがうかがえます。

約30年前の1986(昭和61)年には、子どものいる世帯は全体の46.2%で社会の主流を占めていました。それが現在では、18歳未満の子どもを持つ世帯は高齢者世帯よりも少なくなり、いつの間にか社会の少数派となってしまったようです。また、子どもを持つ世帯の約半数が「一人っ子」、約8割が核家族という状況のなかで、子育ての苦労や教育費負担の重さが子どものいない世帯の人々からは見えづらいのかもしれません。

育児や教育費の負担は、「自己責任」と見る風潮も強まっている気がします。しかし、このままいけば少子化がさらに進行することは明らかです。将来に向けて健全な社会を保つためにも、保育支援の充実、保護者の教育費負担の軽減などが強く求められます。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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