本を借りるだけではもったいない! 図書館の使い方【前編】

好きな本を借りられて、気兼ねなく出入りできる図書館は、お子さまに読書の機会を与えてくれる絶好の場です。特に、学校の図書館はお子さまにとっては、おなじみの存在といえるでしょう。また、長期休暇の際には、地域の図書館へ、宿題をするために通うお子さまも多いかと思います。
ふだん、なにげなく使っている図書館ですが、使い方のコツを覚えれば、面白い本を見つけることはもちろん、調べ学習などにも上手に活用できます。
学校の図書館や地域の図書館の上手な利用のしかたについて、帝京大学教育学部の鎌田和宏先生に教えてもらいました。



本を借りるだけではもったいない! 図書館の使い方【前編】


学校の図書館と地域の図書館の違いとは

学校の図書館と地域の図書館の違いは、一言でいえば、学校の図書館が児童や生徒向けの本を置いてあるのに対して、地域の図書館は幅広い年齢層に向けた蔵書があることです。

学校の図書館というと、週に1回ほど、国語の授業の時間を使って本を借りるだけ、というイメージがある保護者のかたも多いと思います。地域によって少し違いはありますが、学校の図書館は、現在では、「調べ学習」などで、探究を目的とした学習で利用される機会が増えてきています。たとえば、社会科の授業で産業や歴史上の人物について調べたり、国語の授業では作者の生涯を調べたりするほか、総合的な学習の時間で地球環境問題や外国文化のことを調べたり、移動教室前に訪問する地域のことを調べたり……と分野やテーマも多岐にわたっています。
また、今年の4月には学校図書館法が改正され、「学校司書」という専門職の人を学校に置くことが奨励されるようになりました。この制度が広がれば、いままで先生が行かないと開放されなかった図書館が、休み時間など、いつでも利用できるようになることもあり、注目を集めています。

一方、地域の図書館では、司書に「こんな本を探しているのですが……」というレファレンスの相談ができるのはもちろんのこと、夏休みに子ども向けのサポートを実施しているところもあります。たとえば、上記の「調べ学習」の進め方をサポートするイベントを実施していたり、夏休みの自由研究のテーマを提案していたりする場合もあります。知りたい情報にアクセスする手伝いをしてくれたり、本を使って調べものをする際のコツを教えてくれたりすることはもちろん、「草木染教室」や「手作り電池教室」といった読書とは直接関係はないものの、自由研究のテーマとして取り組めるイベントを実施していることが多いようです。

このように、お子さまを対象としたサービスということだけで考えても、保護者のかたの子ども時代とくらべ、図書館サービスは向上していると考えていいでしょう。



図書館の上手な使い方

ただ本を借りるだけではなく、もっと上手に図書館を活用するには、どのような方法があるのでしょうか。地域の図書館と学校の図書館を最大限活用する方法をご紹介します。

●地域の図書館の場合
司書におすすめの本を聞いてみましょう。「こんな本が読みたい」「何か面白い本はないか?」など、どんなことでもよいので、ぜひ相談してみてください。普段から本を読まれるお子さまにも、自分ではあまり読まないジャンルの本をおすすめしてくれるかもしれません。きっと、新しい読書の扉が開くはずです。

また、引っ込み思案でどうしても司書に話しかけられないお子さまは、子ども向けの読書案内の本(おすすめの本を紹介している本のこと)を探して、そこですすめられているものを読んでみるのも一案です。また、公共の図書館の中には、子どもにおすすめの本をパンフレットなどにまとめている図書館もあるので、地域の図書館で探してみるのもいいでしょう。

●学校の図書館の場合
とにかく頻繁に通って、本をたくさん借りましょう。そして、読みたい本をリクエストしてみてください。本のリクエストは、学校司書や司書教諭、図書担当の先生に直接頼んだりするほか、リクエストの投書箱を設けている学校もあります。
また、地域の図書館でやっているような自由研究のイベントを学校の図書館でもできないか、相談してみるのもいいかもしれません。
学校の図書館も地域の図書館も、利用することによって、どんどん発展していくはずです。

『教室・学校図書館で育てる 小学生の情報リテラシー』『教室・学校図書館で育てる 小学生の情報リテラシー』
<少年写真新聞社/鎌田和宏(著)/1296円=税込>

プロフィール


鎌田和宏

帝京大学教育学部教授。東京都の公立小学校、東京学芸大学附属世田谷小学校、筑波大学附属小学校等の教員を経て現職に。社会科・総合学習・生活科を中心に、メディア利用・学校図書館活用等の授業研究に取り組む。

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