心理カウンセラーに聞く 園児同士でよくあるトラブルと対処法

3歳くらいの年齢ですと、言葉によるコミュニケーションが取れないため、どうしても友達とトラブルを起こしがちに。だからこそ、大人が成長過程を理解して対処することが大切です。そこで、よくあるトラブルと対処方法をご紹介します。


はじめての社会生活だからこそ生まれるトラブル

 年齢にもよりますが、基本的に保育園や幼稚園というのは子どもにとって初めての社会生活です。とくに3歳前後の月齢の子は、言葉を理解している子とあまり通じない子の差が激しい時期。また、学年は一緒でも早生まれかどうかで成長も違ってきます。4月生まれの子はこれができるのに、3月生まれの子はできない。そこを合わせるのにイライラしたりしてしまったりと、子どもながらに悩みやもどかしさを感じます。

 

だからこそ、子ども同士でトラブルが起きたときに頭ごなしに怒るのではなく、それに対して余裕を持つことも重要です。

 

 

先生やおもちゃを独占したい。初めて芽生えたテリトリー意識

 おもちゃを独り占めしていると、つい「なんで貸さないの!」と怒りたくなってしまいますよね。ただ、子どもだって独り占めしたら怒られるということは、頭の片隅でわかっているんです。

 

つい独占してしまうのは、自分のテリトリーに入れてしまうのは危険だと思ってしまうため。「なんでそんなに不安なのかな?」「いつもだったら貸してあげていたのに」と感じたら、「◯◯ちゃんがこれを持って帰っちゃうわけではないから1時間だけ貸してあげよう」と、ルールを決めて貸しても大丈夫なんだという環境を作ってあげましょう。

 

もちろん、実際に壊されてしまった経験が影響することもあります。でも、揉めたら揉めたでいいんです。おもちゃを自慢したいけど、壊されちゃうからヤダっていうせめぎあいもあるので、「出したいかもしれないけど、◯◯ちゃんが1人のときに遊ぼうね」など、言葉にできない気持ちをくみ取ってあげることが大切です。

 

前は壊されちゃったけど、お友達も学習してきているから、また一緒に使ってみて、それで「あ、この子壊さない子なんだ」っていうことがわかったら、一緒にこのおもちゃもどう? と、やっていけばいい。そこでもまた乱暴にされたら、「それは仕方なかったね」って社会での生き方を学ぶタイミングと捉えましょう。

 

 

子どものケンカは見守ることが大事

 最近の高校生くらいの子を見ていると、トラブルが起こることを避けているように感じます。それは、子どものときに守られ過ぎていたことが影響している可能性があります。ですので、多少のトラブルは幼稚園児のときにいっぱい経験させてください。

 

自分の子どもがケンカをしてそのお友達のお母さんに何か言われたらどうしようと、親御さん自身も恐れていると思います。でも、ずっと恐れていると、自己防衛心ばかりが強くなり心のバランスが崩れ、大人になってから対人コミュニケーションに支障が出てきたり、心の距離感が上手にとれなくなるということも。

 

もちろん、爪を立てるなど過度になったら止めないといけませんし、「そういうことをされたらどう思う? 痛いよね」ということを、ちゃんと伝えなければいけません。ですが、多少のことは、やはり体で覚えていくことが大切です。

 

 

男の子と女の子が違うことを認識し始めるのはもう少し先

 男の子を諭すとき、つい「女の子だから叩いちゃダメ」という言い方をしてしまいますよね。でも男の子にとっては、その差はまだわかりません。「女の子って何?」「女の子って名前の子がいるの?」というような認識しかありません。

 

幼稚園年少時はお手洗いも男女一緒なので、そういう点での性差というのがあまりわからないんです。そこから、体操着の色が女の子は赤だけど男の子は青で、「なんで違うんだろう?」「あ、女の子っていうのはこういうものなんだな」と意識の中に刷り込まれていきます。徐々に徐々に、環境を通し「女の子は小さい」「女の子を守る」といった具体的な認識が芽生え「あ、この子は女の子だからバシッと叩いてはいけないんだ」と、意識化されていくのです。

 

 

プロフィール



幼稚園教諭、人事、秘書、キャリアカウンセラーを経験。 教育・人材育成・サポート的業務経験において「人間」の心に携わる仕事への魅力を感じる。心理カウンセラー、メンタルトレーナーとして独立。広尾にメンタルケアサロン「Pureral」を開き、男女問わずストレス社会で生きる現代人に向けたセッションや、テレビ出演、雑誌記事などでメンタルヘルスケアの意義と大切さを発信。著書に『心理カウンセラーがこっそり教えるやってはいけない実は不快なしぐさ』(PHP研究所)などがある。

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