「小1の壁」「保育園デビュー後」を安全に乗り切る

新年度になって1か月が過ぎ、4月からお子さまが小学校へ入学、保育園へ入園をされたご家庭では、親子とも新たな生活リズムができてきたころでしょうか。働く保護者にとっては、子どもの新しい世界が広がる喜びとともに、環境の変化に戸惑ったり慣れるまでに苦心したりということもあるかもしれません。
事実、保育園や学童保育に入ることができても、お迎えや子どもの帰宅の時間に余裕を持って対応できないこと、人の助けを借りなければならないこともあるでしょう。



「小1の壁」「保育園デビュー後」を安全に乗り切る


子どもの預かりサービスは、1時間1,600円以上

保育園や学童クラブへのお迎えに間に合わない時は家族でやりくりできるとよいのですが、子育て支援制度や民間のサービスを利用する場合もあるでしょう。
2014(平成26)年6月に厚生労働省がとりまとめた「認可外保育施設及び子どもの預かりサービスに関する調査」によると、回答を得た子どもの預かりサービスを実施する44事業者の利用料金は、以下のとおりです。



事業者は一般的に、入会金や年会費などが発生する会員制度を採用していますが、非会員でも利用できます。ただし、非会員は会員よりも利用料が高くなり、たとえ会員であっても利用は夜間が多くなる現実を考えると、1時間2,000円程度の支出は覚悟しなければならないでしょう。



子どもの安全と保護者の安心を買う

しかし、昨年起きたインターネットのベビーシッター紹介サイトでの痛ましい事件は記憶に新しいところです。この背景には、少しでも利用料金が安くフレキシブルに子どもを預けたいという保護者の切実な思いがあります。ただ、子どもの安全・保護者の安心を買うと考えるならば、一時的に家計の貯蓄ペースが落ちるとしても、必要経費と割り切ることも大切でしょう。
厚生労働省でも、料金の安さや手軽さではなく、信頼できるかという視点でベビーシッター事業者の情報を集めるように注意喚起しています。居住する自治体や公益社団法人全国保育サービス協会に加盟している事業者のリストなどを活用しましょう。子どもを預かってもらうベビーシッターに事前の面会をして心構えや保育方針などを聞く、名前・住所・連絡先などを確認する、当日も面会した本人に預けるなども大切なポイントです。



自治体や勤務先の支援を併せて利用する

自治体や勤務先が行う育児支援制度には以下があります。ファミリー・サポート・センター、保育グループは、一般財団法人女性労働協会のHPから検索できます。

●厚生労働省のファミリー・サポート・センター事業
保育施設までの送迎や学校の放課後などに子どもを預かるもので、援助を受けたい会員と援助したい会員の仲介をアドバイザーが行う相互援助活動です。保育料は1時間当たり500~900円という自治体が多いようです。

●NPO法人等の保育グループ
ここで言う保育グループとは、一般財団法人女性労働協会の保育サービス講習会の修了生で結成された団体です。料金体系や内容などは保育グループにより異なります。

●勤務先の福利厚生による支援
厚生労働省のベビーシッター派遣事業では、一定の条件を満たせば、共働き時などに自宅でベビーシッターを利用した場合の料金が割引になります。夫婦ともに働いている時であることを確認するため、割引券の申し込み、管理、報告は事業主が行います。



先輩ママの小1の壁・保育園デビュー後の乗り切り術とは

子どものさまざまな状況に対応するためには、複数の支援パイプを持っておくことが重要です。先輩ママの体験を紹介してみましょう。
残業の多いAさんは、2人の子どもが保育園の時から居住する自治体の子育てサポート制度を利用して、保育園へのお迎えと託児をお願いしました。小学生でも引き続き利用し、子どもは学童クラブ後、支援員さんの自宅で過ごしました。長く利用していたため親子共々何人かの支援員さんとすっかり仲よくなったそうです。また、子どもが病気の時は片道2時間かけて祖母たちに来てもらい、何とか乗り切ることができたということです。
夫と自営業をしているBさんの小学生の子どもは、学童クラブ後、自宅近くの家庭的な学習塾で過ごしていました。時間どおりに学習塾に迎えに行けないこともありましたが、仕事の事情を伝えて柔軟に対応してもらうことができたようです。

子育てサポート制度は自治体によって利用料金に違いはあるものの、子どもの預かりサービス料金の半額程度です。また、学校生活に慣れてきたらおけいこごとを入れるという選択もあります。
一方、子どもが病気の時に預かってもらえる施設は多くありません。多少遠方でも手伝いに来てくれる親族は何より心強いものですし、通勤圏内であれば三世代同居や祖父母と同じ地域に住むことは現実的な選択です。
ただし、いずれにせよ子どもを預かってもらう人には、礼儀や気遣いを忘れず信頼関係を築くことが大切と経験者は口をそろえます。入園・入学・職場復帰などの環境の変化は、親子とも不安な気持ちや時間に追われて余裕がなくなりがちです。保護者が帰宅するまで安心して子どもを預けられる環境を整えて、小1の壁や保育園デビューを乗り切りたいものです。


プロフィール


中上直子

ファイナンシャル・プランナー、消費生活コンサルタント。
マネー、消費生活、消費者教育などをテーマに編集・執筆、教材企画、講座講師、講師養成などで活動。日本消費者教育学会会員。
子どもにかけるお金を考える会メンバー
https://jpn01.safelinks.protection.outlook.com/
一般社団法人消費生活総合サポートセンター(Cサポ)理事
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