小1の壁とは?保育園と小学校の違いや対策も紹介!

「小学校に入れば働きやすくなる」と思っているかたも多いでしょう。しかし、いざ入学してみるとそうではないことに気付きます。実は小学校に入ってからの方が、仕事がうまくいかないというケースが多いのです。それが「小1の壁」。今回は、小1の壁ができる理由と、その対策をご紹介します。

小1の壁とは?保育園より働きづらくなるってホント?

小1の壁とは「保育園の頃と比べ、小学校に上がってからの方が仕事と子育ての両立が困難になること」をいいます。共働き世帯の増加により、多くのかたが直面することとなった小1の壁。文部科学省と厚生労働省も、2014年に「放課後子ども総合プラン」を、さらに2018年には「新・放課後子ども総合プラン」を策定し、学童を始めとする子どもたちの放課後の居場所作りを進めているところです。

小学生になると、一般的には手がかからなくなるというイメージがあります。もちろんそれも事実ですが、「手がかからない=働きやすくなる」わけではありません。働きやすさは、子どもと家族に関わる多くの環境が整ったときに感じるもの。そう、小学校に入ってからの方が働きづらく感じるのは、保育園にいた頃との環境の違いにあるのです。

保育園と小学校の違いが大きいほど壁は高い

保育園は主に「働く親をサポートするために子どもを保育する場所」であり、小学校は「子どもたちが義務教育を行うための場所」です。極端に言えば、保育園は親のために、小学校は子どものためにある場所だということになります。つまりそれが、小1の壁の原因。どんな違いがあるのか、具体的に見てみましょう。

学童と保育園の預かり時間が違う

小学校の下校時間は遅くても16時頃で、延長することはありません。下校後に利用する学童も、保育園とは預かり時間が違います。

保育園では延長保育があり、保護者のかたの希望に応じて19時頃まで預かってくれるところが多かったでしょう。園によってはさらに遅くまで保育をしているところも。早朝保育もあり、早ければ7時頃から開所してくれていたでしょう。

しかし学童の場合、公立では18時頃までしか開所していないことも多いです。夏休みなども、朝は8時~となっていることが多く、保育園と同じ感覚では預けられません。時間が遅くなる場合はお迎えが必要となることも多く、フルタイムで働く保護者のかたにとっては大きな問題となっているのです。

小学校は夏休みなどの長期休業がある

小学校と保育園とは、休みの長さも違います。保育園は基本的に長期休業がなく、あったとしてもお盆前後や年度末の数日のみ。希望保育も行っているため、預け先に困ることはなかったでしょう。

しかし、小学校の長期休業は1~2カ月と長いです。この間、学童などを利用するかたも多いはず。学童は給食がないため、基本的にはお弁当持参となります。この期間毎日早起きしてお弁当作りをするのは、なかなか大変でしょう。

しかも、待機児童がいる学童では新たな申し込みが難しい場合もあります。普段から学童を利用している家庭が優先されることも多く、長期休業中だけ預けることはできない可能性もあるのです。

保育園よりも平日行事が多い

保育園は働く親に配慮して運営してくれることが多いですが、小学校はそうではありません。行事は平日がメイン。参観日を始め、PTAの仕事や懇談会など、平日に休まなければならないことが多くなります。

行事が少ない保育園を利用していたかたほど、そのギャップに戸惑うはず。休みの取り方などを、改めて職場と相談する必要があるかもしれません。

学校は宿題がある

小学校に入って新しく始まるものといえば、宿題ですよね。子どもだけのものと思われがちですが、実はそうではありません。算数のプリントの丸付けをしたり、子どもの音読を聞いたり……。これらのサポートを毎日しなければならない可能性もあります。

学童を利用していれば、宿題を終わらせてくれることも多いでしょう。ただ、保護者のかたの手が必要なところは、家庭で行わなければなりません。時間にすればほんの数分ですが、忙しい中対応するのはなかなか大変でしょう。

会社の時短勤務が終わる

子どもが小さい頃は、時短勤務で働いていたかたもいるでしょう。ただ、時短勤務は未就学の時期までという会社が多いはず。そうすると、小学校入学と共にフルタイムに移行することになります。

時短勤務が可能で延長保育がある保育園、時短勤務が終了するのに下校時間が早い小学校。どちらの方が対応が難しいかは、明らかですよね。時短勤務が必要なのは、案外小学校に入ってからなのかもしれません。

1年間を通じて発生する壁

小1の壁は、1年間を通してさまざまな形で現れます。どんな悩みが出てくるのか、季節ごとに見てみましょう。

【春】新しい生活で子どもも保護者も不安が多い

入学後一週間程度は、給食を食べずに帰ってきます。通学路の途中までお迎えをお願いされることも。通常日程になってからも、お子さまの様子によっては付き添いが必要なことがあります。そして、意外に悩むのは朝。特に、保護者のかたが家を出る時間よりも、子どもが家を出る時間が遅い場合です。戸締りはどうしたらよいのか、カギはどうするのか……。防犯面も考えながら対応していかなければなりません。

もう一つ忘れてはいけないのが、保育園からの切り替え時期。4月に入ってからは保育園の利用ができません。しかし、入学前の児童は学童を利用できない可能性もあります。つまり入学式までの数日間は、休みを確保したり預け先を探したりする必要があるのです。

【夏】夏休みはお弁当が必要!?

夏の大きな壁は、夏休みです。共働きの家庭では学童を利用することも多いですが、大変なのはお弁当。2カ月近く毎日お弁当を用意しなければならないため、保護者のかたの負担は非常に大きいでしょう。ちなみに学童の申し込みは、普段利用していないかたは受け付けてくれないこともあります。人数制限があるかどうか、事前に確認しておきましょう。

また、学童を利用しない場合も子どもの昼食は必要です。高学年くらいになれば自分で用意することもできますが、低学年では難しいもの。お弁当や、パンやおにぎりなどを準備する必要があるのです。

【秋】平日開催の学校行事も多い

秋は行事が多くなる時期。運動会、音楽会、参観日など、保護者のかたが参加する行事もたくさんあります。平日開催のものも多いため、お休みを確保する必要があるでしょう。

また、休日開催のものも注意が必要。特に、運動会など屋外で行う行事です。こういった行事は雨天順延となっていることが多く、雨が続けば平日にずれ込む可能性もあります。振替休日などもあるため、連続して休みを確保しなければならないのです。

【冬】日が短い、感染症など新たな悩みが

冬は日が短くなります。しかし、保護者のかたの勤務時間は変わりません。学童から歩いて帰宅するお子さまや、通学距離が長いお子さまは、心配事が増える時期でしょう。お迎えを考えると、夏場よりも早く仕事を切り上げる必要があるかもしれません。

また、インフルエンザなどの感染症も気になる時期です。感染症にかかれば長期間休まなければなりません。感染症による欠席者が増えれば学級閉鎖になることも。学級閉鎖の期間は自宅待機する必要があるため、保護者のかたもお休みを取らなければならないでしょう。

小1の壁への6つの対策

小1の壁は、回避することが難しいです。ただ、上手に乗り越えていくことは可能。具体的な対策をご紹介します。

働き方を見直してみる

まずは、今の働き方で生活していけるのかを考えましょう。小1の壁とはいいますが、小学校は6年間あります。高学年になれば留守番なども可能になりますが、低学年の間は難しいはずです。つまり、2~3年間は小1の壁が続くということ。子どもと保護者のかた、双方に無理がないような働き方があれば、それがベストです。

転職する、退職する、契約内容を変える、時短勤務や在宅勤務を検討する、休みを確保しやすいように相談しておくなど、働き方の見直し方法はたくさんあります。大事なのは、誰か1人に任せるのではなく、家族全員で考えていくこと。全員で働き方を見直せば、1人の負担は少なくて済むはずです。企業側にも、小学校の子どもがいる家庭をサポートする制度が増えてくるとよいですね。

家族間で話し合いをする

仕事の見直しも含め、家族間で話し合いをすることも必要。参観日や子どもの体調不良のときも、夫婦で話し合って交代しながら休めるとよいですね。朝の送り出しはお父さん、学童のお迎えはお母さんなど、出勤時間をずらして対応するという方法もあります。

また、両実家の両親を頼りにするのも一つの方法です。放課後や長期休業中は実家に預かってもらうなどすれば、現在の働き方を続けられるかもしれません。保育園までと違って手がかからなくなるため、祖父母も預かりやすくなる可能性が高いでしょう。実家までの距離や関係性にもよりますが、一度相談してみるとよいかもしれません。

習い事をする

習い事を始めるのも一つの方法です。遅い時間まで行っているところなら、お迎えの時間も学童より余裕ができるはず。習い事の先生の目があるので、保護者のかたも安心です。詰め込み過ぎは負担が大きくなってしまいますが、週に1~2回であれば無理なく続けられるでしょう。学童を嫌がるタイプのお子さまにとってはリフレッシュになるかもしれません。

親同士で協力する

仲の良いママ友・パパ友同士で協力して、負担を減らすという方法もあります。お互いの子どもを交代で預かったり、習い事の送迎をお願いしたり……。1人だと大変でも、2人3人と大人がいれば余裕が出てくるはずです。情報交換をするだけでも、乗り越える方法が見つかるかもしれません。ただし、どこかの家庭ばかりに負担がいかないように注意しましょう。

ファミリーサポートなどの民間サービスを利用する

お子さまを預けられる場所は、学童以外にもあります。ファミリーサポート、小学生まで対象のベビーシッターサービス、家事代行サービスなどであれば、家庭でお子さまを見てもらうことが可能。送迎を行ってくれるところを利用すればさらに安心です。開所時間が長い民間学童を併用する方法もあります。

家事を思い切って休む

小1の壁を乗り越えていくためには、保護者のかたの気持ちの余裕が必要。ただ、仕事を頻繁に休んだり、辞めたり転職したりするのはハードルが高いですよね。そんなときは、家事を思い切って休みましょう。

掃除は週末だけにする、夕飯はお惣菜を活用する、朝ご飯はパンだけにするなど、手を抜いても大丈夫なところはたくさんあるはず。まずは今の生活に慣れることに重点を置き、自分自身が休める時間を作りましょう。慣れてきたら、できることから戻していけばOKです。

子どもだって大変!フォローを忘れないで

小1の壁は大人の目線で作られた言葉。しかし、そこには必ず子どもがいます。新しい生活で、不安や悩み、負担を感じているのは子どもも一緒です。それを忘れないように、お子さまともしっかり向き合っていきましょう。

学童も習い事も留守番も、子どもが嫌がれば難しくなってしまいます。仕事と育児を両立していくためには、子どもの協力が不可欠なのです。子どものことを信じて任せることも大事、疲れたときにはしっかり甘えさせてあげることも大事。お子さまも家族の一員ですから、お互いにフォローし合えるような関係を築いていきたいですね。そうすれば、小1の壁も上手に乗り越えていけるかもしれません。

まとめ & 実践 TIPS

小1の壁は、共働きの家庭を中心に多くの保護者のかたが直面するもの。ただ、「保育園よりも大変になるかも」と事前に知り対策をしておくことで、上手に乗り超えられる可能性も高いです。子どもの様子、家庭の状況、職場環境など、さまざまなことを考慮しながら、自分たちにとって最善の方法を探していきましょう。

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