百玉そろばんの使い方・身につくこと
「百玉そろばん」は、「そろばんのおもちゃ」でありながら、きちんとした学習にも使うことができる「知育玩具」でもあります。ただし、使い方は一般的なそろばんと違い、もっと簡単です。いまでもまだまだいろいろな使い方が考え出されており、未知の力を秘めたすばらしいおもちゃだといえるでしょう。幼児がそろばんを始める前に、百玉そろばんでそろばんと同じように補数で教える教室もあります。この場合、10の補数だけを意識します。その後そろばん練習に入ることで、スムーズにそろばんの考えを理解することができるのです。
珠を一つずつはじく、1から順に数えていく
百玉そろばんの珠は、それぞれの位に10ずつ並んでおり、一つの珠がその位での「1」の単位を表します。一番上の一の位であれば、1から10まで。二番目は十の位ですから、一つの珠は10の役割を果たし、10から100までとなります。
片方にすべての珠を寄せたあと、珠を一つずつはじく(左から右へ、あるいは右から左へ移動させる)ことで、子どもは数を数えつつ、視覚的にも「どれくらいの多さになるのか」ということを理解することができます。
一つずつはじきながら、「1から10まで数える」「1から100まで数える」のも、量を視覚的にとらえるよい方法です。慣れてきたら100から1までを逆に数えてみてください。
まとめた数ではじく、二つに分けたり、たして10に戻したりする
先ほどは一つずつはじきましたが、二つ、五つなど、ある程度の数をまとめて「かけ算」的にはじいていくのも、数の理解につながります。また、「1と9に分ける」「5と5に分ける」などしてから、また「あわせて10にする」といったことを繰り返していくと、たし算やひき算の基本的な考え方にもつながるといわれています。
遊びの中で「10進数」が身につく
百玉そろばんは、遊びながら数に触れることで「10」を基本とした数の数え方を身につけることができます。つまり、私たち大人も必ず頭の中で使う「10進数」がしっかりと理解できるようになるのです。また、既に触れたように、視覚的に数をとらえられるため、たす・ひくといったことの感覚もどんどん定着していきます。
このような知育玩具には、「手で触れる」ことで記憶が補強されるというよさもあります。まだ数字の理解がそれほど深くなくても、自分の手で動かせる、ぱちぱちと音がする、「並ばせたり、分かれさせたりできる」というのは、普段の生活にはない新鮮な刺激を脳に与えてくれるでしょう。
記事監修:
一般社団法人日本珠算連盟教育研究部部長 西川善彰