公立に比べて遅れる私立学校の耐震化 その原因は？
東日本大震災以降、住民の避難所ともなる公立学校の校舎や体育館などの耐震化が進んでいる。その一方で、私立学校の耐震化率は2014（平成26）年度に初めて8割を超えたものの、依然として公立学校に比べて遅れていることが文部科学省（文科省）の調査でわかった。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が解説する。
文科省の調べによると、公立学校施設の耐震化率（2014＜平成26＞年4月現在）は、幼稚園83.6％、小中学校92.5％、高校90.0％、特別支援学校96.5％などとなっています。同省は2015（平成27）年度中の早い時期に、全公立学校の耐震化を完了するとの目標を掲げています。計画は順調に進んでいるように見えますが、ここにきて私立学校の耐震化の遅れが目立っています。
2014（平成26）年4月現在の私立学校の耐震化率は、幼稚園81.0％、小学校94.5％、中学校91.0％、高校77.9％、特別支援学校94.6％など。小中学校は公立に比べて遜色はないものの、幼稚園と特に高校の耐震化が大きく遅れています。
校舎など以外にも、天井や照明器具など「非構造部材」と呼ばれる部分の耐震化も問題です。非構造部材の耐震点検の実施率は、公立学校89.8％に対して私立学校は64.2％。そして非構造部材の耐震対策の実施率は公立学校59.6％に対して私立学校は48.2％と、それぞれ取り組みが遅れています。
こうした格差が生じた大きな理由の一つは、2013（平成25）年度まで国による私立学校の耐震化補助金が施設改修のみで、施設改築が対象とならなかったためです。2014（平成26）年度から、改築も補助の対象に加わりましたが、高校を筆頭に耐震化が追い付いていません。さらに、私立学校の耐震化率には地域格差もあります。これは地方自治体が私立学校に対する耐震化補助制度を持っていなかったり、補助率が低かったりすることなどが一因となっているようです。
出典：私立学校の耐震化率、やっと8割突破 -ベネッセ教育情報サイト
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