「センター試験廃止」が話題の大学入試改革 その本当の狙いは?
センター試験に代わって導入が検討されている新テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」。ついテストの内容ばかりが気になってしまうが、教育ジャーナリストの渡辺敦司氏は「中央教育審議会は入試のことだけを検討しているわけではない」と言う。入試改革の真意とは何か? 詳しく話を伺った。
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新テスト導入に伴う大学入試をめぐっては、「考える」力をみる入試などと報道されています。
具体的には、
(1)「教科型」で出題される基礎学力テストでは、各教科の「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」を評価する
(2)「教科型」に加えて「合教科・科目型」と「総合型」の問題も組み合わせて出題する学力評価テスト(将来的には教科型を廃止)では、「知識・技能」を活用して「思考力・判断力・表現力」を評価する
(3)各大学の個別選抜では、大学の個性に合わせて小論文や集団討論、面接などを組み合わせ、思考力・判断力・表現力とともに、両テストでは測れない「主体性・多様性・協働性」も評価する
という3段構えです。いずれも知識・技能が軽視されているわけではありませんが、(1)、(2)、(3)と積み重ねることで活用力や主体性にウエートが移っていくイメージです。
ここで想定されているのは、まず高校段階で必要な知識・技能や思考力・判断力・表現力などをしっかりと身に付けてもらい、それを大学で更に伸ばそうという考え方です。新たな学力観として想定している「主体性・多様性・協働性」「思考力・判断力・表現力等」「知識・技能」(現在は「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学習意欲」)を高校・大学を通じて育成する教育に転換するためには、入試の在り方も変えなければいけないというわけです。
中教審は入試のことだけ検討しているわけではなく、むしろ高校と大学の教育を変えるために入試を変えようとしていると言っても過言ではないのです。
出典:大学入試改革は高校・大学の「教育」を変えるため -ベネッセ教育情報サイト