ICTで授業革新 新しい教育の必須ツール浸透へ課題は?

ICTで授業革新 新しい教育の必須ツール浸透へ課題は?学習指導要領は、今秋にも中央教育審議会に改訂が諮問される予定だ。検討課題は目白押しだが、全体を貫く方針として、「何を知っているか」から「何ができるか」へのシフトがある。そのためにはICT(情報通信技術)を活用した「授業革新」が必要だという。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に詳しく伺った。

 

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政府の教育再生実行会議は7月にまとめた第5次提言の中で「課題解決・双方向型授業」の必要性に言及しています。提言を受けて下村博文文部科学相は中教審に諮問した理由説明で、「ICT等も活用しながら、課題の解決に向けて主体的・協働的に学ぶ授業を通じて、これからの時代に求められる力を子供たちに確実に身に付けさせることができる指導力」を教員に求めました。

 

代表的な国際学力調査PISA(経済協力開発機構=OECD=の「生徒の学習到達度調査」)や 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)のB問題に見られるとおり、これからの時代には知識を覚えることよりも、活用する力がますます重要になってきます。現行の指導要領の下でも、活用力を育成する授業が各教科等で進められていますが、今回の「授業革新」は、そうした方向をさらに進めようとするものです。ICTを使うことによって、一斉授業や個別学習だけでなく「協働学習」の可能性が広がります。

 

同省がまとめた最新の実態調査によると、「授業中にICTを活用して指導する能力」のある教員の割合は着実に増え、69.4%に達しています。ただし「児童のICT活用を指導する能力」は64.5%と低めです。また、6月に発表されたOECDの国際教員指導環境調査(TALIS)でも、日本の教員は主体的な学びを引き出すことに対しての自信が低く、ICT活用等の実施割合も低いことが浮き彫りになりました。しかし、研修を受けたくても多忙などのため受けられないという実態もわかっています。

 

今後は、学校でのICT環境整備、使いこなせる教員の研修と授業研究などが課題になります。21世紀を生きる能力を子どもたちに付けさせるためにも、国を挙げて本気で取り組まなければならないといえるでしょう。

 

出典:これからの授業はICTで「授業革新」 -ベネッセ教育情報サイト

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