災害時避難所としての学校 期待されるその役割と課題

災害時避難所としての学校 期待されるその役割と課題2011(平成23)年3月の東日本大震災以来、避難所としての学校の役割が注目されるようになった。台風・竜巻・ゲリラ豪雨など地震以外の災害も多発する中、文部科学省は、幼稚園から高校、特別支援学校までの学校施設整備指針を改定した。これについて教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が解説する。

 

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学校施設整備指針は、公立学校の校舎や体育館などの施設を建設したり改築したりする際の参考となるもの。今回改正された指針は、地震に対する対応や津波への対策を本格的に盛り込んでいるほか、災害時に学校が地域住民などの避難所となることを前提とした、施設・設備の整備を進めることと定めたのが大きな特徴です。

 

津波や洪水などの被害が予想される地域の学校については、周辺の高台や校舎の屋上などへの避難経路を確保したうえで、さまざまな対策を検討することとしています。さらに、避難経路の確保が困難な場合は、学校の高台への移転や校舎の高層化など抜本的な対策を取ることを求めました。これらは東日本大震災による津波の際、避難する場所が明確に決まっていなかったり、屋上への避難通路がなかったりした学校があったことなどの反省を踏まえたものです。ただ、移転や校舎の高層化となると多額の費用が必要で、自治体にとって大きな課題となってくるでしょう。

 

また、指針は、避難所としての学校施設の在り方を示すとともに、早期に授業を再開できるよう、避難所機能と教育機能の区画を分けておく必要性を指摘。障害者・高齢者・妊婦などへの対応も施設の建築・改修などの計画にあらかじめ盛り込むよう求めています。

 

学校の防災では耐震化対策などに目が向きがちですが、保護者なども避難所としての学校という視点で学校の施設・設備をチェックしておくことも必要でしょう。

 

出典:学校施設の津波対策や避難所機能を強化 整備指針改定で -ベネッセ教育情報サイト

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