奥山佳恵さん(女優・タレント)が語る、マイペースで幸せ子育て【後編】~“適当”と“いいかげん”で力を抜いて
ドラマ、バラエティー、舞台など幅広く活躍中の奥山佳恵さん。前編では、2002年に長男の出産後に体験した、産後ブルーについて伺いました。9年ぶりに誕生した次男の美良生(みらい)くんに対しては、肩の力が抜けた自然体の子育てをされているそうです。マイペースで幸せな毎日を送る秘けつについて伺いました。
ダウン症とわかって……
9年ぶりに迎えた赤ちゃんは、かわいくてかわいくて。その次男が、生後1か月くらいたったころ、ダウン症だということがわかりました。名称は知っていてもどんな病気なのか、これからどうなるのかわからずに、ショックと不安で泣きましたね。だけどとにかくかわいい、それだけはわかる……。すると主人が「かわいいってことだけでいいんじゃない?」と言ってくれて、その言葉がうれしくて、また涙があふれて。
ダウン症の子どもたちは、成長がすごくゆっくりです。次男はもうすぐ2歳半ですが、今、11か月相当の成長です。順調なんですよ。よく寝てよく食べよく笑い、本当に育てやすい。ゆっくりゆっくり大きくなっていくんだなあ、という感じで、心配は特にありません。
長男が次男のことを大好きで、よく面倒を見てくれます。年が離れているせいか、やきもちを焼きません。育てる側にいて、私の手となり足となってくれるので本当に助かっています。美良生は「このお兄ちゃんのところに生まれたい」って思って、我が家に来てくれたんだろうな、と主人と話しているんです。
仕事と育児の両立は、友達の支えがあってこそ
私は仕事が大好きです。仕事の時は、長男も次男も実家ではなく友人の家であずかってもらっています。長男出産後に子育て番組の仕事をした時、専門家の先生に、「子育てはどれだけお助けカードを持つかがカギ。そのカードを上手に使い、いかに自分から甘えられるかが大事」と教えてもらいました。
ちょうど、「こそだて」の「こ」は孤独の「孤」と思ったくらい、孤独感にさいなまれていた時期でした。でもふと、孤独を解消するには私が外に出ればいいんだ、そのためにお助けカードを使っていいんだ、と気付いてからは、行動範囲が広がり友達が増えました。今では、いつでも喜んで子どもたちをあずかってくれる友人が近くにいてくれるので、心おきなく仕事ができます。本当にありがたいです。
一人で子育てをがんばっているお母さんには、もっと甘えていいよ、と声をかけてあげたい。子どもはママの笑顔が大好物です。ママの笑顔のために、少々お金を使ってもいいと思うんです。外に出れば、時には家族と同じくらい、周波数が合う人との巡り合いがあることも。友達はつくるものではなく、縁がつなぐ関係。ご縁のおかげで、私の幸せな生活が支えられています。
基本は“いいかげん”と肩の力を抜いたマイペース
私もまだまだ子育て修業中の身ですが、「比べない、肩に力を入れない、あきらめない」が、楽しく育児するコツなのかな、と思っています。
健常であろうがなかろうが、どの子にもそれぞれに個性があるわけで、比べたところで意味はないですよね。私たち夫婦は、子どもをリードしないよう心がけています。逆に好きなこと、やりたいことを見つけたら、全力で応援します。海沿いに住んでいるので、長男には水泳を……と思っていましたが、ちっとも興味を示しません。それでも息子の興味、関心に任せています。ちなみになぜか彼は今、海とはまったく関係のない、「キックボクシング」に夢中です(笑)。
「適当」という言葉がありますよね。私はこの言葉が好きなんです。「適当」は言い換えれば「いいかげん」と、マイナスにとらえられる面もありますが、「いいかげん」はよい加減でもあります。肩の力を抜いてよい加減をキープしつつ、子どもには期待をかけすぎずにあきらめない、マイペースな子育てです。
同じ1日なら、できれば笑って幸せに過ごしたいですね。怒ってしまうところで笑いが込み上げてきたら勝ち! 最後は笑うが勝ちかな、子育ては、と思います。