キーワードは「寄り添う」と「徹底反復」 調理科の授業の達人の、成長を加速させる授業

キーワードは「寄り添う」と「徹底反復」 調理科の授業の達人の、成長を加速させる授業NHK Eテレ「Rの法則」や「社会のトビラ」を担当する、NHK制作局 第一制作センター 青少年・教育番組部チーフ・プロデューサーの桑山裕明氏。教育番組を制作するため毎週のように学校を訪ね、たくさんの授業を見る中で、「こんな先生に教えてほしい」と思うことがあるという。今回は、高校1年生の調理科の授業を行う三重県のAC先生をご紹介いただいた。

 

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取材したきっかけは、各地で開かれる料理コンテストで上位入賞を続けている学校があるという話を聞いたことです。詳しく調べてみると、先生の指導力に秘密があることがわかりました。

 

キーワードは2つ。「寄り添う」と「徹底反復」です。この2つは、「教える」ことの根本だと思います。でも、どのように「寄り添う」と効果が出るのか? 「徹底反復」を飽きずに行わせてレベルアップするには、どのような働きかけがよいのか? この問いに明確な答えを持っている先生は少ないように思います。

 

今回、取材させていただいたAC先生の授業は、1年生が料理の基本であるアジの三枚おろしに挑戦し、1週間5時間で20人全員にマスターさせるというものです。

 

授業では、まず先生が手本を見せます。アジの三枚おろしのポイントは、包丁を入れる角度です。これを先生は、何度も何度も繰り返して伝えます。そして、すぐに実習に入ります。頭でできていたことが、実際にやってみるとどうなのかを体感させるのです。

 

AC先生が心がけているのは、困った時、すっと横にいること。それは、生徒たちが自信がないからです。だから、そっと手を添え、手が覚えるまで反復練習を繰り返し、力の配分を身に付けさせます。「できる者だけがわかる力の配分」を感じ取らせると、その後の成長は加速すると言います。

 

生徒たちは、必ず同じ失敗をします。でも、同じ指示を続け、あえて厳しく叱るそうです。でも、うまく行ったらたくさんほめます。それは、ほめられた時の成功体験を記憶に留めさせたいからです。だからこそ、事前に厳しく叱ることが大事だと言います。

 

AC先生に、「理想の授業とは?」と聞くと返ってきたのは……。「教室に何人いても僕と生徒一人ひとりとのやりとりで個別指導になる授業」という答えでした。いい先生だと思いませんか?

 

出典:生徒一人ひとりに寄り添い指導する、調理科の授業 -ベネッセ教育情報サイト

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