子どもの目に良い環境とは? ~子どもの視力低下とその対策~

近年、子どもの視力が下がっていることが指摘されています。
子どもの目のために、保護者が気を付けてあげるべきことはなんでしょうか。
学校医として、また4人の子どもの母としても、子どもたちの目を見つめてこられた眼科医の味木幸先生に、まずは子どもの視力低下について伺いました。



◆子どもの近視が増えている?

文部科学省の統計(外部のPDFにリンク)によれば、子どもの近視は親の世代より増加しています。今の子どもたちは小さいころからテレビやパソコン、携帯電話やゲーム機などに囲まれており、近視の増加の背景には、そのような生活環境の変化があると考えられます。
とはいえ、近視は遺伝的要素と環境要素、それに本人がもともと持っている体質が絡み合って現れるもので、完璧に防ぐことはできません。「近視=悪い目」と決めつけず、まずは子どもの目の現状をしっかりと把握し、その目に最も良い環境を与えてあげることが必要です。



◆近視化を進ませないために

近視は「近くを見るのに便利な目」であり、ひとつの個性ともいえます。とはいえ、近視が進むと不便が増えますので、近視が進まないよう、生活環境を整えてあげることが大切です。

(1)環境を整える
・ゲームやパソコンは…
画面を凝視し続けると、目のピントを合わせる毛様体筋が緊張してくるので、15分に3分は遠くを見るなどして目を休ませて。30分続けたら10分、1時間続けたら15分の休みを。

・机との距離は…
机と目の距離は30cmがめやす。そのためにも、正しい姿勢は大切です。机の上はスタンドで明るさを補い、光が目に入らないよう位置に工夫を。

(2)食生活を整える
・魚や豆製品、野菜をしっかり!
眼球や水晶体の主成分はたんぱく質。ビタミンAは視力を保ち、ビタミンCは目の粘膜を保護する働きをします。肉・魚や豆製品、野菜などをしっかりとることが、目の健康にも不可欠です。

(3)生活リズムを整える
・十分な睡眠を
睡眠は目を休ませる意味でも大切。少しでも明るいと目が十分に休めないので、寝室はできるだけ真っ暗に。目の働きは朝の光を浴びることで活性化するので、目の健康のためにも、早寝早起きを。

・思いっきり外遊びを
野外で体を動かすことで、目から入った情報を脳ですばやく判断する力が育ちます。サッカーや野球選手の視力が良いというデータがあるのは、広い場所で動くものを見て判断する、目と脳のトレーニングを行っているからといえるでしょう。


◆視力低下のサインに気付いたら

視力が低下しても、子どもはそれを言葉で訴えることは難しいもの。次のような兆候が現れたら注意深く見守り、適切なタイミングで眼科を受診させるようにしましょう。

・テレビに近付いて見るようになった
・ものを見るとき、顔を傾けたり、目を細めたりする
・人の顔や看板の文字が判別できない
・本や勉強に集中できなくなり、急に成績が落ちた

子どもの眼鏡には、視力の補助だけでなく、視力の発達を助ける役割があります。同じ視力でも、目を休めれば回復する仮性近視、遠視や乱視があるなどさまざまなケースがありますので、眼鏡をつくる場合は、必ず眼科医に相談してください。
保護者のかたから「子どもに眼鏡をかけさせたくないのですが」といった相談を受けることがありますが、外観より視力が大切。眼鏡で視力を補助し、目から脳に入る情報量を多くしたほうが、脳の訓練にもなります。眼鏡が大事なものだということを、子どもにもきちんと伝えてください。
尚、コンタクトレンズの使用には危険が伴いますので、小学生にはおすすめできません。ただし、激しいスポーツをしている子どもには、コンタクトレンズを処方する場合があります。

次回は、子どもの視力の発達や、気になる疾患について伺います。

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<PHP研究所/味木 幸(著)/1,365円=税込み>

プロフィール


味木 幸

眼科専門医。慶應義塾大学医学部卒業後、同大眼科学教室入局。国家公務員等共済組合連合会立川病院眼科などを経て、2003(平成15)年、あまきクリニックを開院。医療法人社団慶緑会理事長。著書に『子どもの目を良くするためにできること』(PHP研究所)などがある。

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