廃校後の施設はどうなっているの?
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少子化によって、現在、多くの地方自治体が、学校統廃合の問題を抱えています。事情は、地域によってさまざまです。統廃合になった学校の施設は、どうなっているのでしょうか。
文部科学省の調べによると、1992(平成4)年度以降、廃校になった公立学校の数は、小学校から高校まで含めて計5,796校です。特に2003(平成15)年度以降は、全国で毎年400校以上の公立学校が廃校になっていますが、2009(平成21)年度は526校が廃校になっており、92年度以降で2番目に多い数でした。廃校になった学校の中には、まだまだ使える校舎や体育館などの施設が、実は少なくありません。
2002(平成14)年度から2009(平成21)年度の間に廃校になった公立学校について、文科省が調査したところ、3,671校中3,310校で、校舎や体育館などの施設が現在も残っていることがわかりしまた。しかし、残っている施設が、社会体育施設や社会教育施設、体験交流施設など、何らかの形で活用されているところは2,295校(69.3%)しかなく、残り1,015校(30.7%)は、活用されないまま放置状態となっています。
公立学校の校舎や体育館などの建設には、国の補助金が使われており、十分な耐用年数を残したまま施設を放置していることは、税金の無駄遣いとも言えるでしょう。 会計検査院は、活用されていない廃校施設には約249億円相当の残存価値があり、このうち約105億円相当は国の補助金である、と文科省に指摘しています。
また、2009(平成21)年度に廃校になった526校のうち228校が、施設利用計画のないまま、廃校になっています。文科省が地方自治体に事情を聞いたところ、「地域等からの要望がない」(44.8%)が理由のトップでした。
しかし、廃校後の施設利用について地域住民などにアンケート調査したという自治体は4.7%に過ぎず、住民などの意向把握をしていないという自治体は54.9%でした。さらに、住民の意向を聞いたと回答した自治体でも、説明会などの際にヒアリングしたというのがほとんどで、大半の自治体では廃校後の施設利用について、住民から十分に意向を把握していないことがうかがえます。
このため会計検査院は、「施設の有効活用を図るために地域住民の意向を聴取するなどの体制整備についての指導を(地方自治体に)十分に行う」よう、文科省に求めています。会計検査院などの指摘を受けて、 文科省は現在、「『みんなの廃校』プロジェクト」を立ち上げ、廃校になった公立学校施設の有効活用などの方法を検討しています。
廃校はある意味、仕方のないことではありますが、無人の校舎がそのまま放置されている風景を見ると、心が痛みます。廃校計画と同時に、施設の再活用などの方策を、地方自治体が地域住民と一緒に考えていくことも、必要なのではないでしょうか。
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